本当はいち早く TOEFL関係を取り上げたいです。でも先にシリーズ「それコミュニケーション(意志伝達)なの?」をお届けします。予定では、今回を含めて2回だけです。
それコミュニケーション(意志伝達)なの?(その1)
今回は、まず我が母との会話を読んで欲しい。長年の疑問を母にぶつけた話である。(おっと、その前に前提の話をする。我が母は、私と違い、語学が好きである。ただし母の場合、英語ではなくドイツ語である。母は、若いときは東京オリンピックのドイツ語のボランティア通訳をやった。日本で行われたワールドカップのときもボランティア通訳をやった。今も放送大学で、ドイツ語の学習中である。)
では会話。
============
私:ちと聞きたいのだが
母:なあに?
私:そんなにドイツ語を話したいのかね?
母:うん
私:話す内容は何でもいいの?
母:うん
私:ドイツ語なら何でもいいの?
母:うん
私:話す内容は関係ないの?
母:ドイツ語ならなんでもいい。内容は関係ない。
私:じゃあ、たとえば「意味の分からないドイツ語」をドイツ人に話しかけてもいいの?
母:うん
私:返事が来れば嬉しいの?
母:うん。嬉しい!!!^^
私:でも、それ、相手に「自分がしゃべったドイツ語」をお袋自身が把握してないよね。
母:うん
私:それでいいの?
母:うん! 会話ができればいいの。楽しいの。
私:そうなのか
母:うん。
私:じゃあ聞けど、それって「コミュニケーション(意志伝達)」なの?
母:......
=========================
返事がなかった瞬間、中学から私が疑問に思っていたことの1つが解けた気がした。
英会話好きは、「話の中身は2の次3の次」。英語でありさえするのが先。返事があればなおよし。
内容が後回し、ということはたとえば↓こんな例でもOKのはず。
たとえば、その辺を歩いている英米人に、ある日本人(あなた)は意味も分からずに
あなた:"You are very stupid, aren't you?"
とでも話しけてみよう。 英米人は
英米人:"What! Not so much as you!"
とでも返事をくれるかもしれない。それだけで、英会話好きは喜ぶらしい。内容はどうでもよく、「英米人と 話せた 英語をぶつけ合えたこと」に喜びを感じるらしい。
↓こういう英会話のスキッドがあるだろう。
Aさん:......
Bさん:............
Aさん:......
Bさん:............
Aさん:......
Bさん:............
↑こういうやつだ。たった今私が日本語バージョンで示したが。こういうAさんBさんみたいな会話の教材があるだろう。私はこれが嫌で嫌でしょうがなかった。最悪に嫌だった。なぜか?
理由1
まずその英文をまともに覚えられなかったから。
理由2
なぜそういう意味になるのかが分からなかったから。
私は嫌で嫌でしょうがなかったが、英語の先生をはじめとする英語好きの方々はこれを「嬉々として」楽しんでいた。英語好きはなぜ楽しめるのか? 喜んでぱっぱと英文を覚えようとするのか? これが私には謎であった。
しかし、母との会話でようやく分かった。
英会話好きは
内容はなんでもいいから英語を喋ること > 意味を話し相手にきちんと伝えること
という基準で行動する。
「相手がなんて言っているか、自分がなんのつもりで話すか」よりも、「英語で話しかけて返事が来るほうが嬉しい」らしいのだ。だから、彼らは「意味なんか2の次で、とにかく英語を覚えよう、覚えよう、そして練習しよう、隙あれば話しかけよう!」と思うわけだ。...ということがこの間ようやく分かった。
私はこれがとても疑問である。だってこれ「コミュニケーション(意志伝達)」の練習なんでしょ? 意味は2の次で、英語をぶつける行為のほうが先......これのどこが「コミュニケーション(意志伝達)」なのか?
だがどうやら、英語教育関係者たちの一部(たぶん多く)は「たとえ意味の分からない英語を言い合うだけの行為」でも、それを「コミュニケーション(意志伝達)」と認識しているらしい。英語教育関係者たちの一部は、<英語のコミュニケーション能力の増幅のために>、こういう「Aさん、Bさんと対話形式」に重点を置き始めて久しい。20年はこの風潮が続いている。
こういう英語教育関係者たちは「意志伝達」という日本語の意味を理解していないと思う。彼らは小学校から国語を学びなおすべきだと真剣に思う。
「意志を伝えるのではなく、英語を話すのを喜ぶ」←この考え方が私には分からない。意志を伝えていないのだ! 相手を何だと思っているんだ!? 相手に失礼だと思わないのか!? これのどこが「コミュニケーション(意志伝達)」なのだ!?
<補足:英語嫌いさんのために、先に例に挙げた英文の和訳例を書いておく>
日本人:"You are very stupid, aren't you?"(あなたはとても愚かですね)
英米人:"What! Not so much as you!" (なんだと! お前ほどじゃないぜ!)
いやあ、意志が伝わらない「コミュニケーション」って素晴らしいですね(嫌味)。
今週の金曜日はいつもの文法学習です。この続きは来週の月曜日です。