苦手なりの受験英語(アルク版)

なぜ英会話能力が身につかないのか?(8)

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原因6・コミュニケーションという意味を間違って把握している

 私がかねてから英会話好きの人に謎に思う部分がある。英会話を学習したい(もしくはしている)理由である。彼・彼女らに私は「あなたはなぜ英会話を学習したい(している)の?」と聞くことがある。その典型的な返事の1つは

 「英米人とコミュニケーションを取りたいから」

である。「コミュニケーション」とは「意思の疎通・伝達という意味ではないのだろうか。これを彼らはやりたいとおっしゃっている。しかし彼らの多くは英米人と「コミュニケーションを取りたがっている」ようには私には全く思えないのである。

 ここで過去の再放送をする。(この回から大半を抜粋)

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 今回は、まず我が母との会話を読んで欲しい。長年の疑問を母にぶつけた話である。(おっと、その前に前提の話をする。我が母は、私と違い、語学が好きである。ただし母の場合、英語ではなくドイツ語である。母は、若いときは東京オリンピックのドイツ語のボランティア通訳をやった。日本で行われたワールドカップのときもボランティア通訳をやった。今も放送大学で、ドイツ語の学習中である。)

では会話。

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私:ちと聞きたいのだが

母:なあに?

私:そんなにドイツ語を話したいのかね?

母:うん

私:話す内容は何でもいいの?

母:うん

私:ドイツ語なら何でもいいの?

母:うん

私:話す内容は関係ないの?

母:ドイツ語ならなんでもいい。内容は関係ない。

私:じゃあ、たとえば「意味の分からないドイツ語」をドイツ人に話しかけてもいいの?

母:うん

私:返事が来れば嬉しいの?

母:うん。嬉しい!!!^^

私:でも、それ、相手に「自分がしゃべったドイツ語」をお袋自身が把握してないよね。

母:うん

私:それでいいの?

母:うん! 会話ができればいいの。楽しいの。

私:そうなのか

母:うん。

私:じゃあ聞けど、それって「コミュニケーション(意志伝達)」なの?

母:......

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 以上が再放送であった。どうだろう? 英会話好きの皆様。これはコミュニケーション(意志伝達)であろうか? 少しも意図が伝わっていないし、自分も話しかけた相手の意図を受け取っていない。これのどこがコミュニケーション(意志伝達)なのだろうか? これはコミニュケーションではなく、「言語の言い合い」である。つまり多くの英会話好きは、このように「コミュニケーションではなく、英語の言い合いをしたい」のではないかと私は思っている。

 これを裏付ける話がある。やはりわが母の例である。上記のように母は英語ではなくドイツ語だが。

・ドイツ語を習い始めの頃の(少女の頃の)母はあるとき、ドイツ人がたくさんあつまるパーティに参加した。
・そのとき母はあるドイツ人から、【ある適当なドイツ語の疑問表現】を教わったという。
母はそのパーティで、何十人ものドイツ人に会うたびに、その【ある適当なドイツ語の疑問表現】で話しかけまくっていたそうだ
・その時、母に話しかけられたドイツ人は、笑って何か返事を返してくれたという。
・母にとってそれは楽しかったそうだ。

ただし
 母はこの時、各々のドイツ人に「自分がどんな意味のドイツ語で話しかけたのか」を知らなかった。
 またこの時ドイツ人がくれた返事も、母は「どんな意味であったのか」を全く理解していなかった。

そうである。

さあ、これはコミュニケーション(意志伝達)であろうか?

 なおこれは後で分かった話だ。↓

 この時、わが母がドイツ人に言っていた疑問表現は、
 「やい! てめー! 名前を名乗りやがれ! この野郎!
といった意味の表現だったそうだ。母がまだ幼い少女だったから笑って許されただろう。しかし仮にあなたががそう言ったら、笑って許されただろうか? 仮に私がそう言ったら、毎回ドイツ人に殴られていただろう。

 だから少なくともこれは「意思の疎通・伝達」ではない。「会話ごっこ」だ。自分が喋っている意味も分からなければ、返ってきた返事もその意味が分からない。しかしおそらく、まさにこういうことをしたい&それで満足なのが英会話好きなのだと思っている。違うだろうか?

 もしも「会話ごっこをしたい&それですごく満足」ならば、「自分の意志は相手に伝わらないし、相手の意志も自分に伝わっていない」ということになる。これはコミュニケーションであろうか。この状態で「日常英会話」ができていると言えるのだろうか?

 私が英会話を真剣にやる場合は、ちゃんと自分の意志を伝える英語を話す。相手の言っていることを正確に聞き取るように心がける。そうでなければ「せっかく返事をくれた相手に失礼」ではないか! ただし、これは想像以上に大変な作業であると少なくとも私は思う。そう、英語による「コミュニケーション(意志の伝達・疎通)は太変ハードルが高いのだ。まして即応性が問われる英会話は最もレベルが高いと思う。だから私は英会話が大嫌いである。

 英会話をちゃんとやるなら、きちんと「コミュニケーション(意志の疎通・伝達)」を取って欲しいと思う。もちろんそうするよう努力をしている人は大勢いるだろう。

 しかしそれよりも「英語の言い合い(英会話ごっこ)」をして、それを「コミュニケーションが取れて嬉しい!」と認識し、喜んでいる人・相手の英語の意味なんか2の次やん。雰囲気だけできればいい。俺様カッコいい! あははは!」と思っている人のほうが多い気がする。

金曜日はいつもの文法放送。この続きは来週の月曜日です。
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