では、続きに参りましょう。
前回までの3つは
・【To speak English well】 is difficult.
→to 不定詞の【塊】は『主語』の役割を果たしている
⇒「【英語を上手に話すこと】は難しい」
・I want 【to speak English well】.
→to 不定詞の【塊】は『目的語』の役割を果たしている
⇒「私は【英語を上手に話すこと】を欲している
⇒「私は英語を上手に話したい」
・His desire is 【to speak English well】.
→to 不定詞の【塊】は『補語』の役割を果たしている
⇒「彼の野望は【英語を上手に話すこと】だ」
でした。上の3つの英文の【to不定詞の塊】は、それぞれ『主語』や『目的語』や『補語』の役割を果たしていますね。そして、これらの訳例にはすべて「こと」という言葉が入っています。
ではここで今回の英文を発表します。
He has the ability to speak English well.
これにも「to+原形〜」がありますね。【to の魔力】により、これも【塊】を形成しています。つまり
He has the ability【to speak English well】.
となります。この英文での【to不定詞の塊】の役割を考えてください。
・まず『主語』の役割は果たしていないですね。
・次に『目的語』の役割も果たしていないですね。他動詞 has の目的語は the abilityですから。
・『補語』でもないですね。
つまり、今回の【to不定詞の塊】は、『主語』や『目的語』や『補語』のどの役割も果たしていません。
正解を言うと、この【to不定詞の塊】の「役割」は、手前の「名詞 ability」 を修飾している役割を担っています。(修飾の意味がわからない人はこちら)
【to speak English well】⇒ability
↓
「【英語を上手に話すような】能力」
という具合です。したがって全体で
He has the ability【to speak English well】.は
⇒「彼は 【英語を上手に話すような】能力 を持っている」
という、意味になります。
ここで抑えて欲しいことが2つあります。
(1)He has the ability【to speak English well】. の【to不定詞の塊】は、『主語』や『目的語』や『補語』のどの役割も果たしていない。
(2)『主語』や『目的語』や『補語』のどの役割も果たしていないこの【to不定詞の塊】には「こと」という訳語が入らない。
この2つです。ここが今までの3つの英文との「大きな違い」になります。
ここで、私が何を言いたいかわかるでしょうか?
実は↓こういうことです。
・【to不定詞の塊】が『主語』や『目的語』や『補語』のどれかの役割と分かった場合、少なくとも直訳には「こと」という意味が入る。
・【to不定詞の塊】が『主語』や『目的語』や『補語』のどの役割もないと分かった場合、「こと」という意味が絶対に入らない。
ということです。
つまり
●【to不定詞の塊】の役割を見抜くことで、「訳語」が決まるのです。
実は今回の↓
He has the ability【to speak English well】.
のように、<名詞(ability)を修飾している【to不定詞の塊】>は
× 「こと」
○ 「べき」か「ような」か「という」か「ための」かあるいは「(何も訳を付け足さない)」
という「訳語」が加わるのです。
「べき」「ような」「という」「ための」「(訳さない)」については次回にやります。
明日はいつもの文法放送。この続きは来週の月曜日です。