苦手なりの受験英語(アルク版)

勉強法。苦手な人へ・指導者へ(16)

・「英会話スクールや留学」と「英語嫌い」

テーマ
英会話スクールに通いつめ、留学を体験すると英語嫌いが少しは好きになるのか?

苦手な人へ

問1:あなたは英会話スクールに入りたいか?
  ⇒あなたの返事は「いいえ」のはずである。

問2:あなたは留学したいか?
  ⇒あなたの返事は「いいえ」のはずである。

問3:もし無理に英会話スクールに通わされ、短期でも語学留学をした場合、英語が好きになりそうか?
  ⇒あなたの返事は「いいえ」のはずである。

  ↑以上の返事を読むと、「英語が好きな人、特に英会話好きな人、多くの英語指導者」は「そんなはずはない・そんなことは理解できない」という反応を示すはずである。
 英語が苦手な皆様、残念だが、彼らはそういう動物だ。これはどうやら仕方がないようだ。でも心配することはない。私に言わせれば「英語が苦手なあなたなら【いいえ】と答えて至極当然」である。そうでない方がおかしい。

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指導者へ

問1:あなたは英会話スクールに入りたいか?
  ⇒あなたの返事は「はい」のはずである。(既に入っているなら別として)

問2:あなたは留学したいか?
  ⇒あなたの返事は「はい」のはずである。(既にしているなら別として)

問3:もし無理に英会話スクールに通わされ、短期でも語学留学をした場合、英語がもっと好きになりそうか?
  ⇒あなたの返事は「はい」のはずである。

  ↑以上の返事を読むと、「英語が好きな人、特に英会話好きな人、多くの英語指導者」は「日本人なら誰でもそう思っているだろう。そうではない日本人なんかいるのか?」という感想でも持つはずである。
 あなたがそういう感想を持つのは仕方がないようだ。私の経験上、あなたの場合は(私がどんなに頑張っても)「そうでない人もいる」とは思ってくれない。

 無駄なのだが、もし良かったら参考までに以下を読んでいただきたい。

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マウスバードの一言

昨年から教えている、今月(4月)から高3になる生徒の例を紹介する。

【生徒の環境】
父親...英語がペラぺラに喋れる
母親...英語がカタコトながら喋れる
幼少時...1年間だがイギリスに住んでいた。
小学校から英会話スクールに通う。現在も通っている。

 この環境の生徒さんをあなたはどう思うか?「羨ましい。こういう生徒さんなら英語がさぞかし得意なんだろう」と思うかもしれない。

 しかし実際は逆である。この生徒は英語がとても苦手である。なにしろ高2の段階で「三単現のS」を知らなかったぐらいである。私が受け持ったときは、当然平均からかけ離れた点数しか取れていなかった。あまりに酷い点数なので、私の門(インターネット授業)を叩いて下さったわけだ。【私の授業は基本的に苦手な人専門である】

 まずこの生徒を2箇月ぐらい私が教えた。さっそく「夏休み明けのテスト」で、この生徒は「平均点」を取ってきた。意外に早かったので私は大喜びした。生徒もそれなりには喜んでいた。しかし、1回平均取ったくらいで、こびり付いた「英語苦手意識」は取れるものではない。それ以後も、現在も、苦労しながら英語を学習し、現在に至っている。

 この生徒はなぜか先月(3月)、『イギリスに2週間短期留学』に行っていた。この生徒の学校では、希望者がこの時期に2週間の語学留学に行けるのであった。もちろん生徒はイギリスに行きたがらなかった。行きたがる訳がない。
 しかし希望の書類は提出しなければならなかったらしい。生徒曰く「絶対に通らない自己アピールを書いたのに〜〜><」だそうである。しかしなぜか学校側に「受理」されて、イギリスに行くことになってしまった。生徒はとても落ち込んでいた。

 出発前の授業で、私は生徒から「いかに行きたくないか」というお言葉をたくさん拝聴した。生徒は「私は2週間『貝』になります。絶対喋りません」と決意表明をしていた。

 2週間後、生徒は無事帰ってきた。私は感想を聞いた。

さて、さて。Ψ(`∀´)Ψ
ここで、英語好きの皆様は、↓こういうストーリをお好みなことを私は知っている。

(最初は興味がなかったけれど)
・イギリス文化に触れて英語に興味が持てた。
・英語が楽しくなった。
・英語が好きになり、聞きたい、喋りたいと思うようになった。

 ↑だいたいこんなところだろう。というか「そんな目論見」が2週間イギリス留学の目的ではなかろうか? しかし、もしあなたはこんな「妄想」しか抱けないのなら、あなたの「脳のデキ」を私は疑う。

 実際はどうだったのかを↓下で紹介しよう。

 私はまず、英語教師らしく、次のように聞いた。

 私 「少しは英語が身についたか?」

生徒は即答で力強くこう言った。

 生徒「いいえ!」

詳しく生徒の感想を聞いた。

・観光は楽しかったが、他はつまらなかった
・授業は英語のみで行われ、何を言っているかわからなかった。なので全く身になっていない。
・当分英語は聞きたくない!

最後の感想「当分英語は聞きたくない!」を生徒は特に力強く言っていた。他にも色々聞いたが「楽しくなかったオーラ」を全開に感じた。これがこの生徒の2週間のイギリス留学の結果である。

 あなたはこれを意外に思っただろうか?
 私は違う。「至極当然。逆だったら意外」としか思えなかった。

●「意外」と思った人だけ以下を読んで欲しい。(なあに、いつもの手だ)

問1:あなたは数学学習スクールに入りたいか?
  ⇒あなたの返事は「いいえ」のはずである。

問2:あなたは数学学習合宿に行きたいか?
  ⇒あなたの返事は「いいえ」のはずである。

問3:もし無理に数学学習スクールに通わされ、短期でも数学学習合宿に行った場合、数学が好きになりそうか?
  ⇒あなたの返事は「いいえ」のはずである。

今週の金曜日は文法放送。来週の月曜日には1回雑談を入れる予定です。
この続きは再来週の月曜日です。

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