「受験英語」には「英文を速く正確に読める」能力のテスト、という性格があります。
受験の花形は相変わらず「長文読解問題」です。
それはそれは恐ろしく長い英文(と苦手な人には特に感じる)を読まされて、それに対する設問を解いていきます。
この設問の意地悪なこと! 意地悪なこと! 長文を中途半端にしか意味を取れないと、必ず間違えるように設問は出来ています。
ここで、変な発想を持つ人がいます。
「英語が喋れるのであれば、こうした長文問題は楽勝なはずではないか?」
本当にそうでしょうか?
もちろんそうした人がいないわけではないでしょう。ですが「違う」と言える要素があります。
ここで幕末で活躍した、通訳者「ジョン万次郎」の話をします。
彼は元々漁師だったのですが、あるとき彼が乗った船が難破しました。
5人の仲間と共に漂流しますが、アメリカ船に助けられます。
当時日本は鎖国状態でした。なのでそうは簡単に帰国できなかったのです。
5人の中で特に英語に興味を持ったのが彼でした。彼は助けた船のホイットフィールド船長にかわいがられました。
英語を話す能力を習得し、約10年後に帰国しました。
鎖国の時代の幕末において、彼ほど流暢な英語を話せる人物はいませんでした。
彼は幕末の日本側の有能な通訳として大変重宝されました。
のちに開成学校(現・東京大学)の教授としても活躍しました。
幕末で重用された彼ですが、明治以降はあまり重用されませんでした。
その理由の1つは病気の所為です。もう1つ理由があります。
何か分かりますか?
万次郎は英会話は得意であったのですが、翻訳は不得手であったのです。
明治期に西洋の体系的知識を日本に移入することが求められた際、
「会話」ではなく「文章化された書物の翻訳が要求された」ためです。
(万次郎の名誉のために書きますが、彼が翻訳した本がないわけではありません。ですが不得手であったことは否めないようです)
受験英語は、英会話のテストではありません。
概ね
「文章化された英語を読んで、その設問に答える」
といったテストです。
英会話と無関係ではありませんが
「文章化された英語を速く、正確に読む」という力は、「少なくとも英会話力」だけでは習得しがたい要素があるわけです。
だ、か、ら、、、、、
あ、この話は続きは木曜日にします。