「高校の英語の授業を英語でしたら」の続きです。
今日は「現場を知らぬ偉い人の妄想(ファンタジー)」の続きです。
彼ら(偉い人)は
「高校の英語の授業は英語のみで十分できる!」
と考えています。その根拠は
「実際、そうしている高校もある。それに英語で英語の授業なんて英会話学校では普通にしていることではないか!」
「だったら、できないほうがおかしいではないか!」
というものでした。
今回は、「この現状把握が実におかしい」という話をお伝えします。
なんと言ってもサンプルは
「英会話学校」
です。
世の中にはたくさんの英会話学校があります。
その多くは日本語を使わず「英語のみ」で教えているはずです。生徒側も生徒側でそれ概ね受容しています。しかも先生は「ネイティブがいい」とばかり、日本人の先生なんか蚊帳の外w 英語しか話せないネイティブの先生ばかりを礼賛・歓迎します。
幼稚園生程度の脳みそしか持っていない文部科学省の英語担当の偉い人は、こうした英会話学校の現状をみて、
高校でできないはずがない。
難しいかもしれないが不可能ではない
できるなら、やったほうがいい!
と思ったのではないでしょうか?
では、ここで、幼稚園生、じゃなかった、文部科学省の英語担当の偉い人に聞きたいことが、私にはいくつかあります。
皆さんもご一緒に考えてください。
(1)あなたは、もし世の中に「数学学校」というものがあったら通いたいですか?
たぶん通いたくないですよね? 違いますか? 英語が好きなあなたはおそらく数学がお嫌いでしょうから。
(2)もし日本に社会人向けの「数学学校」というものがあったとしたら、どんな人が通うと思いますか?
あなたは通いますか?
数学好きな人、好きじゃなくてもせいぜい「数学を学びたいと考えている人」ぐらいじゃないでしょうか?
自腹を切って、お金を払って、参加するわけでしょうから。。。
(3)では、「英会話学校」に通う人、ってどんな人でしょうね?
英語好きな人、好きじゃなくてもせいぜい「英語を学びたいと考えている人」ぐらいじゃないでしょうか?
自腹を切って、お金を払って、参加するわけでしょうから。。。
(4)英語好きな人、もしくは「英語を学びたいと考えている人」だけが英会話学校に通うわけですが、
そこでは、英語でしか英語を学ばないでしょう。
そのうち何%の人が英語がぺらぺらになりますかね?
ぺらぺらじゃなくても良いです。その授業についていける人(生き残って続けられる人)は全体の何%ぐらいでしょうか?
普通は30%ぐらいじゃないでしょうか? 絶対に50%も生き残らないでしょう。
そして、その生き残る人はたいてい「最初から英語がある程度以上出来た人」だけでしょう。
これが、上手く行っている例に、あなたは見えますか?
たぶん、あなた(文部科学省の英語担当の偉い人)には、見えるのだと思います。
なぜなら、あなたはこの 30 %に 入っているからです。
実はここで「類は友を呼ぶ」の原理が働くのです。
こうした英会話学校で、生き残る人は30%ぐらいしかいないのに、生き残る人がみな友達になるわけです。
したがって、彼らには生存率が 30%に見えず、50%以上に見えるのです。
しかし、実際は 30% ぐらいでしょう。これが状況判断ミス(1)です。
数学のお嫌いなあなたのことです。できない人・付いていけない人のほうが大勢(70%)いても「いや、多数派はできる人のはず。なぜなら私はできるから」と思っているのではないでしょうか?
↑重大なミスだと思いませんか?
実際はさらに、もっと大きな「状況判断ミス(2)」を彼らはしています。
こちらのほうが重大です。
「状況判断ミス(2)」とは↓こういうことです。
英会話学校へは
・英語好きな人、好きじゃなくてもせいぜい「英語を学びたいと考えている人」だけが通う。
・自腹を払うわけだから、それなりに、がんばるはず。
・それでもついて行ける人は全体の30%ぐらい。せいぜい50%。
一方高等学校はどうでしょうか?
・英語好きな人もいれば嫌いな人もいる。彼ら(英語が好きな人)はよく嫌いな人の存在を【無視】します。\(`へ´ )/=3
・自腹を払う苦学生もいるかもしれないが、99.99%は親が学費を払う。であれば、嫌いな人はがんばるであろうか?(英語担当の偉い人は、お嫌いな数学を「がんばった」と言えるほどがんばったでしょうか?)
・英語が嫌いな人も大勢いる中で、英語のみで行う授業に生徒の30%も付いていけるだろうか?
⇒確実に「ついていけない人の割合が、今よりも多くなる」と思いませんか?
したがって、どんなに良い先生がいても英語で授業をしたら、付いていけない生徒が増える確率のほうが現状では高いはずです。
え〜と、まだまだ彼ら(偉い人)は状況判断ミスをしています。それはいわば「大学入試とのギャップ」なのですが…
それについては、次回にお話します。
明日はいつもの文法放送。この続きは来週の月曜日です。