苦手なりの受験英語(アルク版)

不定詞の謎に迫る!(7)

では、続きに参りましょう。
前回までの3つは

・【To speak English well】 is difficult.
  →to 不定詞の【塊】は『主語』の役割を果たしている
  ⇒「【英語を上手に話すこと】は難しい」
・I want 【to speak English well】.
  →to 不定詞の【塊】は『目的語』の役割を果たしている
  ⇒「私は【英語を上手に話すこと】を欲している
  ⇒「私は英語を上手に話したい」
・His desire is 【to speak English well】.
  →to 不定詞の【塊】は『補語』の役割を果たしている
  ⇒「彼の野望は【英語を上手に話すこと】だ」

でした。上の3つの英文の【to不定詞の塊】は、それぞれ『主語』や『目的語』や『補語』の役割を果たしていますね。そして、これらの訳例にはすべて「こと」という言葉が入っています。

ではここで今回の英文を発表します。

He has the ability to speak English well.

これにも「to+原形〜」がありますね。【to の魔力】により、これも【塊】を形成しています。つまり

He has the ability【to speak English well】.

となります。この英文での【to不定詞の塊】の役割を考えてください。

・まず『主語』の役割は果たしていないですね。
・次に『目的語』の役割も果たしていないですね。他動詞 has の目的語は the abilityですから。
・『補語』でもないですね。

つまり、今回の【to不定詞の塊】は、『主語』や『目的語』や『補語』のどの役割も果たしていません

正解を言うと、この【to不定詞の塊】の「役割」は、手前の「名詞 ability」 を修飾している役割を担っています。(修飾の意味がわからない人はこちら

【to speak English well】⇒ability
   ↓
「【英語を上手に話すような】能力」

という具合です。したがって全体で
 He has the ability【to speak English well】.は
 ⇒「彼は 【英語を上手に話すような】能力 を持っている」
という、意味になります。

ここで抑えて欲しいことが2つあります。
(1)He has the ability【to speak English well】. の【to不定詞の塊】は、『主語』や『目的語』や『補語』のどの役割も果たしていない
(2)『主語』や『目的語』や『補語』のどの役割も果たしていないこの【to不定詞の塊】には「こと」という訳語が入らない

この2つです。ここが今までの3つの英文との「大きな違い」になります。
ここで、私が何を言いたいかわかるでしょうか?

実は↓こういうことです。

・【to不定詞の塊】が『主語』や『目的語』や『補語』のどれかの役割と分かった場合、少なくとも直訳には「こと」という意味が入る。
・【to不定詞の塊】が『主語』や『目的語』や『補語』のどの役割もないと分かった場合、「こと」という意味が絶対に入らない。

ということです。

つまり
【to不定詞の塊】の役割を見抜くことで、「訳語」が決まるのです。
実は今回の↓
 He has the ability【to speak English well】.
のように、<名詞(ability)修飾している【to不定詞の塊】>は
 × 「こと」
  「べき」か「ような」か「という」か「ための」かあるいは「何も訳を付け足さない
という「訳語」が加わるのです。

べき」「ような」「という」「ための」「(訳さない)」については次回にやります。
明日はいつもの文法放送。この続きは来週の月曜日です。

(↓目次はこちら)
目次ページへ

-苦手なりの受験英語(アルク版)
-