苦手なりの受験英語(アルク版)

学校の成績の上げ方実践例(11)

 今回はシリーズ11回目です。中2で英語の点数10点しか取れなかった私の姪が、高2の現在では98点を取り、学年4位の点数を取得自主的にシャーロック・ホームズの原書(英語版)読もうとするまでになった話をしています。私が姪を教えるようになってあらの記録は既にtwitterで順次つぶやいてきました。先に過去3年分のツイートをご覧になりたい方はここをご覧ください。そこには既に姪関係のつぶやきのみをまとめてあります。

今回のテーマ
リーダーをどう教えるか?

該当のつぶやき

2011年9月22日(木) 23:13
中2姪の英語教室:Over the next few years, some Sisters joined Mother Teresa.←このうち姪が自力で正しく発音できた単語は the だけ。他の単語は意味も知らない。この1文の解釈にかかった時間は30分。今日の授業は合計3時間

2011年9月23日(金) 12:18
姪の英語教室:三行の解釈を終えた時点で90分たってしまった。予定の授業時間である。俺は「今日はこの辺にしようか」と提案した。すると姪は意外なことに「まだやりたい」と言ってきた。結局そのページの訳を3時間かけて終わらせた。意外に頑張り屋さんで驚いた。

2011年10月10日(月) 13:47
中2姪英語教室:今日はここから→ Hi Yuki. Are you ready for your trip? This winter is very cold and it often rains.  ←ここまでを読んで訳すのに45分かかった。

 今回は私が姪を教え始めた中2時代から現在までのリーダーの教え方について書こうと思う。年が上がるごとに少しずつ変化をさせたが、基本形は変わらない。

1.教科書をコピーさせ、英文を切って、ノートに糊付けさせる。
概ねページごとに教科書をコピー。英文をノートの見開き左に貼る。

2. 英文の単語の「発音」と「意味」を辞書で明らかにさせ、それをコピーに記入させる。
中学生用の辞書ならば発音がカタカナで書いてある。それを英文の単語の上に振り仮名のようにふらせる。
単語の意味はその単語の下に書かせる。

3. ノートの右側に英文の和訳例を自力で作ってもらう。
辞書は何度でも見て良い。作成時間は好きなだけ与える自力で全てやってもらう。

4. ここまで終わったら、まず英文を発音してもらう。
 おかしかったら直す。

5. そして作った英文の訳例を言ってもらう。
 おかしかったら直す。
 間違いを赤で修正させる。このとき「どこがおかしいか」をきちんと説明する。
 どうすれば正しい和訳例になるのかをきちんと指導する。
 間違いではないが、こうしたほうが良い和訳例になる、という表現がある場合、それを青で記入してもらう
 また、このとき「この単語は大事だ」など、補足的な説明も加える。
 

 2〜5の過程は時期によって少しやり方が異なる。
  A:初期(主に中2時代)は1文ずつ(ピリオド単位)でこれをやってもらった。
  B:後期(主に中3後半以降)は、ページ単位で複数の行をまとめてやってもらった。

6. 最後に音読させる
 音読については次回紹介する。

===

姪が中2の頃は1文でこの作業に45分間かかることなんてざらだった。3文で90分(1コマ授業)かかり、それで授業時間が終わってしまったこともある。

こんなことを書くと、こういうふうな意見を言われることがある。⇒「こんなに嫌々長くやっちゃあ、嫌がるだけだろう。嫌で続かなくなるに決まっている。

 そうだろうか? 以下のツイートを読んで欲しい。以下のツイ—トは時期的に上記のツイートとほぼ同時であることにも注目して欲しい。

2011年10月21日(金) 00:40
姪の名誉のために言っておくが、今日は姪は午後7時から午前0時まで頑張った。嫌いな英語をこんなに長い時間やったのはこれが初めてだそうだ。

2011年10月28日(金) 00:20
中2姪英語教室:this, that, but, world, plan, gave, read, how ... 以上、今日の授業で、姪が読めなかった単語。もちろん意味なんか知ってたわけがない。もっと難しい単語ももちろん読めないし意味も分からない。それでも今日も4時間も頑張った。

2011年11月11日(金) 06:43
中2姪英語教室:英語が全くダメダメの姪だが、俺の授業はちゃんと受ける。thisやthatが読めず、毎回意味を確認させられても、studyとstudentの読み方が毎回逆で俺に怒られても、受け続ける。嫌で嫌でしょうがない英語と毎回3時間もにらめっこするのだ! 褒めてやって欲しい。

ご覧のようにちゃんと続く学校なら50分授業ですら嫌なのに、私の授業なら3時間でも平気であった。

なぜ長時間学習できるのか? それは「間違いが分かりそれを直せるから。自分の徐々に間違いが減るから」である。英語が苦手な人は「自力で訳例を作るとまず間違うこと」を知っている。「これは絶対あっている」と思うようなところも間違いと言われることがある。そうすると「どうして間違いなのか?」が分からず、パニックを起こすのである。学校ならこういうものを個人指導できない。ほおっておかれる。

 一方私はこのときの対応ができる。しかも私はこういうのが得意である。「ここをこう考えればお前は間違わなかった。ここをお前は見落としている。だから間違えたのだ」と姪独自の間違いを教えられるのである。そうすると姪は自分の間違いと正解になる考え方が分かるのである。

 このとき2種類の教え方がある。
・既に教えた内容を忘れていた場合。「○○ページのここでやった内容だ。確認せよ!」と私は言う。すると姪は「ああ、これか〜〜」と思って納得する。
・まだやっていない内容の場合、「これは出来なくて当然だ。出来るほうがおかしい。間違いながらも良く頑張ったと思う」と言ってまず褒める。その後、新しい内容を教えるのである。

 こうすると「どう考えればよかったのか?」が分かる。これを続ければ続けるほど間違いが少しずつ減るのである。
 つまり例えば
 ・今まで10文あったら10文全てに間違いがあった。これが、長い日数をかけて次第に、10文中、間違いが9文、8文と減っていく
 のである。そうすると「あ、私はできるようになっている」と思うのだ。実際本当にできるようになってくる。

 「どうすれば○をもらえるのか」を学んでいく...今までそうしたって出来なかったことが出来るようになっていったのだ。だから「嫌がることが徐々に減っていった」のである。だから長く続いたのである。

 姪はこうした読解作業を中学、高校と、延々繰り返した。今では早い。今では「1ページをものの10分」で「読めて訳例を書けて」しまえる今では教科書でもなんでもない英文を自主的に読み、読解したがるまでになった。教えていた私ですら信じられない出来事である。

金曜日はいつもの文法放送。この続きは来週の月曜日です。

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