苦手なりの受験英語(アルク版)

5文型をなぜやるか?(1)

今回の新シリーズは「5文型をなぜやるか?」という話にします。

 まず、最初に申し上げますが、私は「全ての英語学習者に文法が必ず必要なわけではない。文法の必要度は人によって異なる」という意見の持ち主です。文法なんか全く不要な人もいれば、マニアックになるほど必要な人もいる、というのが私の意見です。

 5文型の知識が必要な英語学習者は、私の見解だと、8割ぐらいと思います。つまり大多数には多かれ少なかれ必要(ただし不要な人もいるのは事実)という見解です。以下は、その見解に則って話を進めます。

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 5文型ですが、皆さんはいつ習ったか覚えていらっしゃいますか? 現在のカリキュラムだと中2か中3で習います。私もその頃にやったと記憶してます。でも当時はさっぱり意味・意義が分からない。当時「なんでこんなものやるの?」と不思議でした。ここを読んでいる人も、もしかしたら同じように疑問に思う(思った)人が多いのではないかと思います。

 ちなみに、「5文型」という分類は今から約150年前くらいのイギリスの文法学者が提唱したものらしいです。けっこう古いのです。その所為かどうか分かりませんが、本国イギリスではもちろん、アメリカにいたっても、現在普通「5文型」という文法を扱いません。ちゃんと調べたわけではありませんが、今どき5文型を学ぶ国なんか、世界では日本くらいだと思います。例えば洋書版の文法問題集などを見て欲しいです。5文型を扱っているものはおそらく1冊もないです。あるのは日本ぐらいなものです。(補足追加情報:金沢の英会話学校の清水恭宏さんが知る限りにおいて、【洋書で五文型に触れているものは、ジョン・イーストウッドのOXFORD PRACTICE GRAMMARと参考書では、彼の書いたOXFORD GUIDE TO ENGLISH GRAMMARだけ】だそうです<このブログのコメント欄参照>)

 こう書くと、単細胞の方は「じゃあ5文型なんか意味ないんじゃないの?(だから日本の英語教育はダメなんだ)」と思うかもしれません。もちろんそうではない、というのが私の見解です。ここは「見方」を変えて欲しいと思うのです。日本では必要だから生き残った。私はそう考えています。

●日本語と英語は全く違う文法体系を持っている
●日本で5文型が学ばれるのは
  日本語しか知らない普通の日本人にとっては、英語を学ぶ上で5文型は、日本語との違いを理解するのに簡潔だから

と思います。

 日本語と英語は違う言語です。文法オタクの私に言わせれば、文法ルールは180度違う、と言いたいくらい違います。意味を表現する上で、両者は全く異なる方法を使っています。日本語とは違う「英語側」の特徴を簡潔に説明したのが「5文型」と思います。
もう少し具体的に言うと

 日本語は「助詞さえ正しく使っていれば、多少語順がおかしくても意味は通じる」言語
なのに対し
 英語は「助詞がないので、【5文型に則った正しい語順】でないと意味が通じない、おかしくなる」言語
という具合です。

だから、5文型の概念が普通の日本人の英語学習者には必要だと思うのです。

とはいえ、分かりにくいと思います。そこでこのブログではそれを少しずつ説明していこうと思います。
よろしいでしょうか?

では試しに1つ例を出します。

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次の2つの英語の意味を日本語で書きなさい。

1・Ken has a dog.
2・A dog has Ken.

どうでしょうか? 英語が苦手でかつ「5文型ってどこが重要なの?」と思う方こそ、この2つの英文の意味をしっかりと考えて欲しいです。ぜひやってみて下さい。

この説明は来週の月曜日にいたします。今週の金曜日はいつもの文法学習です。

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