苦手なりの受験英語(アルク版)

2014年度センター試験 英語講評

センター試験を受けた皆様お疲れ様でした。

今年の問題は概ね良い感じに思いました。2012年度のような変な「英語万歳!英語命!」みたいな極悪非道な話は無く、英語嫌いが不快に思うところは0です。全体として少し易化した感じもありますが、易しく見えて実は難しい問題もありました。

注目したい問題を2問ここでは取り上げましょう。

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第2問A 問10

My mother is trying very hard to( A )ends meet,( B )she never lets me buy anything unnesecessary.
(1) A;get B:but  (2) A:get B:so
(3) A:make B:but  (4) A:make B:so

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今年から現れた新傾向問題の1つです。全部で3問ありました。今回は難易度は低めですが来年度以降は高くなると思います。対策は今までの第2問Aと同じで全く問題がないはずです

この問題、( A ) は使役動詞の問題。後ろの meet が「原形である」というところから、get ではなく、make だと分かります。問題は( B )。この答えを出すには "ends meet" という表現が分かっていないと難しいかもしれません。「終わりが会う」もしくは「目的が会う」ってどういう意味? と思わせるのがセンターの出題者の目論見でしょう。実はどちらかと言えば「目的が会う」という意味ですが、それにしたって不明瞭。実は ends meet は「収支を合わせる」という意味の慣用表現なのです。普通の熟語帳には載っていないでしょう。「こんなふうに、簡単な単語を使った、熟語帳に載っていなさそうな表現」をセンターは好みます。「収支が合う」という意味が分かっていれば、( B )はさほど難しくないでしょう。答えは so です。
「私の母は収支を合わせようと一生懸命である、だから私が不必要なものを買うのをけして許してくれない」
正解は(4)です。

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第2問 C 問2
Ken: Do you think your parents will let you study abroad?
Peg: I'm not sure, but I ____ _______ ____ _______ ____ _______ it.
1can 2hope 3I 4into 5talk 6them

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昨年は空欄5個の並べ替えだったけれども、今年は6個に復活。多少難易度が上がったのかもしれないが、5個が6個に上がった程度では、私には、難易度が上がったようにはさほど感じられない。
それとは別に、この問題には「ワナ」がある。 talk という単語を使った「ワナ」である。talk は普通直後に人を目的語に取れない

 × I talked him.
 ○ I talked to him.
 ○ I talked with him.
という具合に、人を目的語にするならば、普通は to か with を入れる。ところがこれには意外な例外がある。

talk 人 into 〜 「人に〜するように説得する」
talk 人 out of 〜 「人に〜しないように説得する」

という熟語がある。これだと talk の直後に目的語として人が来れる。今回はこれを使った問題だった。
into もあるので、
talk 人 into 〜 「人に〜するように説得する」
この熟語だろう、と判断する。
正解は (I) hope I can talk them into (it).(私は彼らにそうするように説得できることを希望している)となる。

あ、そうそう、英語が嫌いな皆様へ。ここは「ケッ! 留学の話かよ!」と不快感を持ってはいけない。よく読もう。留学するのは Peg である。日本人ではない。日本人じゃない人が留学するのならば、我々(英語嫌いな日本人)に不快感はないはずだ。

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さ〜〜て

ここからは突っ込みコーナーです。よその講評では絶対に突っ込まないポイントを書きます。
毎年ここを楽しみにしている人もいらっしゃるかもです。
今年は割りとよくできているので、2012年ほどの破壊力は全く無いです。
でも2つほど突っ込みます。

<大して突っ込めないけど突っ込みたいポイント>
第3問C
まず、全体として、舞台が日本になっていない点を非常に高評価します。2012年は舞台が日本で流暢な英会話をやってて腹が立ったのです。英語好きに好都合なフィクションで、ものすごく不自然に感じました。その点、2014年はこの辺は全く不快に思わず、自然(フィクションではない、という意味)に感じられました。

 ただ、言いたいところはあります。(あくまで言いたいところです)
3人目の Leslie の意見にあります。最後の文言です。
But, most importantly, through learnig a foreign language, we're better able to look at something from various perspectives.
(しかし、最も重要なのは、外国語を学ぶことによって、我々は様々な大局観から物事をより良く見ることができることです)

私の突っ込み
外国語を学ぶことで我々は様々な大局観から物事をより良く見ることができるの?
 →そうだとしても翻訳されたものではダメなのか?
 →本当に大局観から物事を見てる?

センター側はでも正確な表現を使っています。perspectives(大局観)という言葉です。これがもし opinions(意見) と書いてあったら私は最大級の罵倒をするところでした。なぜなら、彼ら(英語好き)の多くは我々(英語が嫌いな人)の意見に耳を貸しませんから。

でも英語嫌いの私からの意見を加えさせていただきます。
 英語好きの皆様にはぜひ「大局観から物事を見ていらっしゃる」、のですよね。だったら
 【日本じゃ英語なんざできたって「有利レベル」であって「必要レベル」ではない必要だったら、日本人の大人の100%が英語を喋ってるだろうに!)】という大局観から見れば極めて常識的な事実を、声を大にして喧伝するべきだと思います。なぜか「有利」を「必要」と抜かす輩が多いですから。いかがでしょうか? よろしくお願いいたします。

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<大きく突っ込めるけど、さほど英語嫌いはダメージはないポイント>
第5問
2つの英文長文のうちの最初の1つめが突っ込めます。
これ書いたのは<スペイン人の画家>で<日記>だそうです。

【私の突っ込み】
・なんでスペイン人の日記が英語なの? スペイン人の日記なのにスペイン語じゃないの?

 ホンマ不思議です。なぜこのスペイン人は日記をなぜ母国語で書かず、わざわざ英語で書いたのでしょう? (日本のセンター試験のために書いたのではないでしょうか?) 普通のスペイン人はそんなに普段英語を使ってるんでしょうか? 私が無知でその事実を知らないだけでしょうか? センター側は「ワールドワイドな話」にしたかったのかなあ、と思っています。スペイン人が普段の日記を書くなら普通はスペイン語でしょう。不自然! 無理やり感が120%します。せめてイギリス人にすればいいのに、、、あ、でもセンターは伝統的にアメリカ英語だからイギリス英語だとそれはそれで不自然なのかなー。でももしそれが理由でイギリス人にしなかったのならば、どこが「ワールドワイド」なんでしょうね? ここはアメリカ人の画家にしておけば、なんの問題もなかったように私は思います。何か他に理由があるのかなあ... (ここは何か適切な理由があったら撤回します)

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 突っ込みはこの辺にしましょう。全体として、今年のセンターは現在の受験生のレベルにマッチしていたと思います。不快な点はなく、すごぶる高評価です。私などでは考えが及びもつかない苦労がセンターの英語問題作成者の皆様にはあると思います。色々言われてしまうだろうしなあ。。。センターの英語問題作成者の皆様、今年もお疲れ様でした。

 もちろん一番辛いのは受験生でしょう。二次試験などを受ける方はまだまだですね。頑張って下さい! 私は頑張る人を応援してますぜ!

 今週の金曜はいつもの文法放送。レギュラーの話の続きは来週の月曜日です。

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