苦手なりの受験英語(アルク版)

なんで余計な教材・参考書をやるの?(3)

 まず前提を書きます。(このシリーズ中は毎回これを書きます)
 今回のターゲットは「英語が苦手な人」です。偏差値が40台かそれ以下の人と考えて下さい。少なくともいつも平均以下の点数しか取れないような人がターゲットです。また「高校生・浪人生」をターゲットとします。ここは「苦手なりの受験英語」ですから。浪人生も含めますが、基本的には「予備校生」を想定しています。宅浪生は想定していません。

 高校生のころ、とんでもない英語劣等生だった私が買いあさった、参考書の類を今日は2つ紹介していきます。色々問題あるので、具体的な名前は出しません(察して下さい)。

1・「○記憶術」
 【解説】最初に買ったのは【記憶術の本】でした。とにかく英語が覚えら得ない。英単語が覚えられない。私の学校は小テストみたいのも頻繁にあって、いつも落第点ばかりでした。なのでこれをなんとかしようと思いました。そこで買ったのが「記憶術の本」でした。筆者はこの記憶術を使って英語をマスターしたらしいのです。英語は暗記科目だから、なんとかガシガシ覚えられればいいはず、と当時の私は考えていました。
 【結果】
→全く覚えられなかった。
 【感想】
本によると視覚的に文字が思い浮かぶらしいのですが、ちっとも思い浮かびませんでした。でも買った時は「これで英語がマスターしたも同然だ」と思っていました。暫く試した頃、親に「そんなんで覚えられるの?」と尋ねられたの覚えています。私の返事は「うん、できる!」でした。ちっとも覚えられないのに「意地を張って」嘘をついたのです。実際は全く覚えていないのに「精進が足りないだけだ」と思っていました。その後も3日ぐらいはこの本に沿った記憶術で必死に英語に取り組んでいました。その後は... あの本どこに行ったかなあー???
 私の感想を言うと「この方法で覚えられた人は作者以外1人もいないのではないか」です。これだったら「普通に覚えよう」としたほうがはるかにましでした。(それはそれでダメだったのですが)

2・「英語で物語を音声付で聞く教材」
 【解説】
当時盛んに新聞雑誌で宣伝されていた教材です。宣伝によるとなんでも「英語が普通だった人がいきなり成績優秀者になった」そうです。「ならばすごい教材に違いない」と思い、購入しました。レベルが初級者用からありました。どうも楽しいお話を音声付で読んで聞く教材のようです。「聞けばいいだけの教材なのか!」と思いこんでいました。
 【結果】
→1ページもやらなかった。
 【感想】
テキストを見ました。初級者用というお話でしたが、知らない単語がわんさかありました。これは私が悪いのです。私の英単語レベルが低すぎたのです。初心者用のテキストにある単語でも当時の私では意味が分からなかったのです。当時の私では中1で習う単語ですらあやふやでした。テキストには詳しい解説文がついているのですが「(レベルの低い私では知らない)やさしい単語」については全く説明が書かれていません。私のレベルから言ったら富士山ぐらいレベル高い単語には詳しい説明が載っていました。つまり、私がこの本をまともに読むには、レベルの低い単語を片っ端から辞書で引かなければなりませんでした。最初は頑張りましたがすぐに嫌になり、やめました。だって「音声を聞けばいいだけ」と思いこんでいましたから。
 付属の音声テープを聴きました。楽しげな音楽と共にプロの朗読家による英語が流れました。それはそれは耳障りが良かったです。でも、何を言っているかさっぱり分かりません。私がよく覚えているのは「ウィーーーーーー」という音声です。どうやら主人公が滑り台のようなところで滑っているところで主人公が発した声(せりふ)のようです。(違うかもしれませんが、そういう挿絵がテキストにあったのでたぶんそうだと思います) 逆にそれ以外の英語はさっぱり頭に残りません。

 私がこの教材で頭に残った英語知識は「滑り台で滑るとき、ウィーーーーと叫んでも良い」ということだけ

でした。単語の1つも覚えていません。
 あ、そうそう。この教材の宣伝に偽りはないと思いました。宣伝によると「英語が普通だった人がいきなり成績優秀者になった」そうです。当時の私みたいな「学年一の英語できらずが英語の成績優秀者になったとはどこにも書いていませんだから嘘ではないのです。つまり、当時の私みたいな「英語が苦手な人」に対しては全く意味がない教材だと思いました。

 この2つの共通点を挙げます
・楽そう
・短期間で成績が上がりそう

そして
・全く役に立たなかった。

というものです。ここ見ているあなたも
・楽そう
・短期間で成績が上がりそう
という基準で、良い参考書をお探しの方がほとんどだと思います。で、「そう思って買ってしまった私はご覧の有様であった」というお話でした。

次回は、上で取り上げた 2・「英語で物語を音声付で聞く教材」...に関する話をします。次回では「実はこれは別に悪い教材ではなかった。極々普通の教材だった」「悪いのは自分だった」というお話をします。

今週の金曜日はいつもの文法放送。この続きは来週の月曜日です。

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