苦手なりの受験英語(アルク版)

受験英語:良くある質問とその返事の【ひどさ】(9)

今回は、シリーズ「受験英語:良くある質問とその返事の【ひどさ】」の総括の1回目です。今回の内容(得意な人の変なアドバイス)は概ね、1度は皆様方が既に出くわしたことのあるものではないでしょうか?(中には出くわしたことがないものもあるとは思いますが)

今回紹介した「苦手な人にとっての珍妙なアドバイス」は、1つの共通の特徴があります。なんだか分かりますか?

それは…これらのアドバイスは「苦手な人にとっては珍妙」だが、「得意な人にとっては全く珍妙ではない」…ということです。
↓こんな感じです。

---------
・newsweek を読む→得意な人だったら読める
・洋楽を楽しむ→得意な人だったら楽しめる
・「英語が難しい」というカードを捨てる→そんなことをしなくても、得意な人にとっては既にやさしい
・英語を英語で考える→英語が分かる人はそれも可能。
・辞書をなるべく引かない→英語が得意な人は、街中で四六時中、単語の類推などの訓練をしている習慣が既にある
・和訳例をなるべく作らない→作ろうと思えば大体作れる能力が既にある。さらにそれに類することは、街中で四六時中訓練をしている習慣が既にある
・英語が将来必要だからやるべきだ→得意な人は、英語が将来必要になったら良いなという願望を「そうなる」と勝手に「妄想」している状態なので、無問題
------------

…と、こんな感じです。

ここで2つ問題があります。

(1)得意な人にはこれらは「本当に苦手な人向けのアドバイスだと思えてしまう。けっして珍妙に思えない

英語が得意な皆さんへ。今回のシリーズの全てに「うんうん」とうなずけた方はいらっしゃるでしょうか?(中にはいるかもしれませんが)ほとんどの得意な方は「全くうなずかない」と思います。なぜなら「彼らにとってはちっとも珍妙ではないから」です。「的を得ているのに? どこが珍妙なの?」と感じるはずです。彼らには「自分たちの意見が『苦手な人にとってはいかに珍妙か』が分からない」のです。なぜこうなるのでしょうか? 私は↓こうだと思っています

 下品な例えで申し訳ないですが、「男性が股間を打ちつけたときの痛み・苦しみ」は女性には分からないですよね。逆に「女性の生理痛の苦しみ」は男性には永遠に分かりません

それと同じです。
英語が得意な人は、「英語が苦手な人の苦しみ」が「分からない」のです。得意な方は「苦手な人がどう苦しんでいるのか全く分からないのです。

過去に私は、こんなページや、こんなページを作りましたが、それでも分かってもらえないと思います。

恐ろしいことに「苦手な人の苦しみ」は、「得意な人の快楽」なことが多いのです。しかし得意な人はそれが分かりません。だから得意な人は、苦手な人に「自分の快楽」を提供することが多いのです。それは、苦手な人にとっては「快楽」ではなく「苦しみ」です。得意な人は「それが分からない」から、苦手な人に「自分の快楽」すなわち毒薬」を平気で処方し続けるわけです。

・こうして、苦手な人は、苦しみまくっているわけです。
・こうして、得意な人は、苦手な人を苦しめ続けます。そして本人には苦手な人を苦しめている自覚が全くないわけです。

おそらくですが、↑これは「永遠に繰り返される」のではないかと思っています。

なぜなら…

…「男性が股間を打ちつけたときの痛み・苦しみ」は女性には分からない、逆に「女性の生理痛の苦しみ」は男性には永遠に分からない。

……↑これと同じように、

英語が得意な人は「苦手な人がどう苦しんでいるのか永遠に全く分からない

永遠に分からない」ために、「永遠毒薬の提供が繰り返されるのではないかと思っています。どうでしょうか?

 もしこれが正しいとしたら、これは「大問題」だと思います。しかしこの問題について議論されることは今までになかったと思います。

これが、ここで起こる問題の「1つめ」でした。もう1つについては、木曜日に書きます。

(↓目次はこちら)
目次ページへ

-苦手なりの受験英語(アルク版)
-