苦手なりの受験英語(アルク版)

文法の必要性の有無(3)

では、続きです。まず、文法が必要かどうかを主張する方々のタイプをもう一度確認しましょう。

 1、文法不要派・完全不要タイプ
 2、文法不要派・一部必要だけど…タイプ
 3、文法必要派・一部不要だけど…タイプ
 4、文法必要派・完全必要タイプ

この4つでしたね。
さて、ここで1つ考えて欲しいことがあります。1〜4の人がそれぞれそのように主張するのはなぜか? ということです。そりゃあ「その人自身がそう思っているから」に違いないのですが、ではなぜ「その人自身がそう思っている」のでしょうか? 何を根拠にそう各人はそう思っているのでしょうか?

この答えは単純です。各人の「体験」が根拠に他なりません。
つまり、

 1、文法不要派・完全不要タイプ
この人は、文法なんか全然気にしなかったけれども、英語の成績が良かった人。文法なんか全く知らなくても、受験が終わるまで英文をすらすら読めた人。
 

 2、文法不要派・一部必要だけど…タイプ
この人は、概ね文法を気にしなくても、それなりに成績は良かった人。文法は少しやった部分があり、それなりに役にたったことは認めるが、基本的に文法にそんなずば抜けた効能を感じなかった人。

 3、文法必要派・一部不要だけど…タイプ
この人は、わりと英語はできたけど、あるとき文法的な裏づけが気になって、調べてそのすごさを知った人。

 4、文法必要派・完全必要タイプ
  この人は、英語ができなかった人が多い。たとえ意味の判る単語の羅列を見ても全く正しい意味が作れなかったことに苦しみ抜いた経験がある人。それを文法で打破できた経験を持つ人。

概ね、全て自分自身の経験を根拠にしてそれぞれ主張しているわけです。

これが、お互いの意見を相容れない根本原因です。
文法不要派・完全不要タイプ」は「俺の経験上、文法なんか必要なかった、それでも俺は英語がずば抜けてできた。だから不要に決まっている」
文法必要派・完全必要タイプ」は「俺の経験上、文法の知識が頭になかったら英語なんて全く読めなかった。だから必要に決まっている」
というわけです。

まず、ここで確かなことがあります。
文法不要派・完全不要タイプ」のは、本当に文法が不要であった。
文法必要派・完全必要タイプ」のは、本当に文法が必要であった。
という「事実」です。両方とも事実なんです! よろしいですか!?

ここでおもしろいことが起こります。

ここを読んでいる皆様にも「文法不要派・完全不要タイプ」がいらっしゃると思います。その方にお聞きします。
文法必要派・完全必要タイプ」の人は「本当に文法が必要であった」という「事実があります。あなたはこの「事実」が信じられますか?

ここを読んでいる皆様にも「文法必要派・完全必要タイプ」がいらっしゃると思います。その方にお聞きします。
文法不要派・完全不要タイプ」の人は「本当に文法が不要であった」という「事実があります。あなたはこの「事実」が信じられますか?

そうなんです。お互いそうなのですが、「正反対の事実」を信じることが難しいのです。「事実」であるのは間違いないのに、信じられない! 中には相手の主張を「そんなわけあるかい! そんなの嘘っぱちだ!」と言い放つ人さえいます。これは「相手の事実を捻じ曲げよう」としているように思えませんか? でも自分の経験というものさしで考えると、反対意見のほうは本当に「ありえない」としか思えないようです。だからそう主張してしまうのだと思います。

ここまでどうでしょうか? みなさま。正反対の「事実体験」を「本当だ」と思うことができますか?

私も最初は、「文法必要派・完全必要タイプ」でした。文法を身につけたらやっと英文が読めるようになったからです。だから「文法不要派・完全不要タイプ」が経験した「不要だったという事実」が、最初はまったく信じられませんでした。しかし、大学1年のとき、「文法不要派・完全不要タイプ」の人にうじゃうじゃ会いまして、悟りました。「彼らには本当に文法が必要なかったのだ!」という事実を!

ここで私は考えました。「じゃあなんで俺には文法は必要だったのだろうか?」と。何かの機会に私は友人Aにこの考えを言ってみました。すると「文法不要派・完全不要タイプ」の友人Aは私にこう言いました。「お前だって本当は不要だったんだよ!」(^^)

「そんなことはない」\(`0´ )/=3! ということは私がよく知っていました。なにせ私には「中学・高校時代は文法なんか少しも身につけずに6年間過ごしてオチこぼれた過去があるから」です。これがどれだけ辛いことか、オチこぼれていなかった人には分かりますまい! \(`0´ )/=3
でも友人Aには「中学・高校時代は文法なんか少しも身につけずに6年間過ごして英語の成績が優秀だった過去がある」のです。

この差は何だろう? どうしてこんなことが起こるのだろう?
このことについて私は当時考えました。

そして1つの結論に達したのです。
それについては木曜日に書きます。

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