苦手なりの受験英語(アルク版)

特殊な副詞の解説(4)

特殊な副詞(一見すると、副詞っぽく見えない副詞)の説明の第4回目です。

1・場所に関係する副詞
2・時間に関係する副詞
3・自動詞に付随して、動作の補填的なイメージを付加する副詞
4・主に分離他動詞に使われる副詞

これら4つのうちの4番目です。

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4・主に分離他動詞に使われる副詞

前回が、自動詞に付随する副詞であったのに対し、今回の4番目は「他動詞」につく副詞です。これが1番厄介。一見すると「副詞」ではなく、「前置詞」に見えるところが厄介です。

・He depended on Miss Kato.(彼は加藤さんに依存していた)
・He put on his coat.(彼は自分のコートを着た)

on前置詞です。ですが、on副詞です。

 「どっちだっていいじゃないか〜」という声が聞こえてきそうです。どっちでも良くないので分けているのです。

↓こんな問題があったとします。
次の1〜4の英文の正誤を判定しなさい。

・He depended on Miss Kato.
・He put on his coat.
・He depended Miss Kato on.
・He put his coat on.

正解は
 ・He depended on Miss Kato.
 ・He put on his coat.
 ×・He depended Miss Kato on.
 ・He put his coat on.

です。×です。ここが「前置詞」と「副詞」の差です。
詳しく解説します。

depend on 〜 ←これは「〜に依存する」という意味の熟語です。詳しくやると「動詞depend前置詞on」の組み合わせの熟語です。
辞書で depend を引いてください。すると[]というマークがついているはずです。つまり depend は自動詞なのです。
自動詞が
「【〜に】依存する」のように【〜に】や【〜を】が欲しい場合、前置詞を伴います。この場合、「【加藤さんに】依存している」と言いたいケースです。depend(ed) に何か前置詞をつけてあげましょう。何という前置詞を使うべきか? 辞書を使うのが確実です。辞書で depend を引けば「depend on 〜」で「〜に依存する」という意味になる旨の説明がどこかにあります。したがって
 He depended on Miss Kato.
と使います。

繰り返しますが、depend は自動詞です。
で、
 動詞+【前置詞か副詞か怪しいもの】+名詞
という場合、  ↑  ここは「前置詞」と決まります。
したがって、depened on 〜 は「自動詞+前置詞」型の熟語である...と判定できます。

で!

自動詞+前置詞」型の熟語は
 ○自動詞+前置詞+名詞
 ×自動詞+名詞+前置詞
という具合に使うことになっています。したがって、
 1・He depended on Miss Kato.
 ×3・He depended Miss Kato on.
となります。

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今度は 副詞 on のケースを説明します。
 ○2・He put on his coat.
 ○4・He put his coat on.

put on 〜 ←これは「〜を着る」という意味の熟語です。詳しくやると「動詞put副詞on」の組み合わせの熟語です。
辞書で put を引いてください。すると[他]というマークがついているはずです。つまり put は他動詞なのです。
他動詞は
「【〜を】着る」のように【〜に】や【〜を】を絶対に伴います。前置詞を伴いません。だからこの場合、on などなくても、He put his coat.
でも良さそうなものです。しかし、辞書で put を調べて、熟語の put on を探してください。「〜を着る、身に着ける」という意味がしっかり載っているはずです。put単独では「〜を置く」というのが第一義なのです。「〜を着る」と言うために、意味をより適切に言い表すためには、「put
on 〜」という具合に、on をつけてあげるべきなのです。

したがって
 He put on his coat.
と使います。

繰り返しますが、put は他動詞です。
で、
 動詞+【前置詞か副詞か怪しいもの】+名詞
という場合、  ↑  ここは「副詞」と決まります。
したがって、put on 〜 は「他動詞+副詞」型の熟語である...と判定できます。

で!

「他動詞+副詞」型の熟語は
 ○他動詞+副詞+名詞
 ○他動詞+名詞+副詞
という具合に使うことになっています。したがって、
 2・He put on his coat.
 4・He put his coat on.
となります。(意味は同じです)

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ここまでで違いは分かったと思います。なぜ、put on の on は「前置詞」ではなく「副詞」なのか分かったと思います。

もう1つ補足を付け加えさせてください

他動詞+副詞」型の熟語
 ○他動詞+副詞+名詞
 ○他動詞+名詞+副詞
という具合に使うことになっています。

ただし、名詞が「代名詞」の場合、事情が変わります。

 ×他動詞+副詞代名詞
 ○他動詞+代名詞副詞
という具合に使うことになっています。

例を挙げましょう。例えば
 ○2・He put on his coat.
 ○4・He put his coat on.

  ↑こうだったのですが
  ↓代名詞の場合は、↓こうなってしまうのです。

 ×2'・He put on it.
 4'・He put it on.(彼はそれを着た)

こういう使い方になることまで、覚えてください。よろしいでしょうか?

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今回の特殊な副詞の使い方の説明は以上です。変な副詞で迷ったら、ここにきて説明を読んでください。
次回は雑談です。その次の週から新しいシリーズを始めます。

今週の金曜日はいつもの文法学習です。

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