ここから「自動詞と他動詞の知識」を知っていれば、分かる・解ける、役に立つ、という話題に移ります。
「自動詞・他動詞」が分からなければ、今回の記事を読まず、先にこちら(2)から(5)までに読んで、「自動詞と他動詞の知識」を覚えて下さい。
ではこんなケースを考えましょう。
<常識で困る編>
【問題】
次の英文の意味を日本語で答えよ
A dog has Ken.
【誤答例】
ケンは犬を飼っている
【正解】
ある犬がケンを飼っている
【解説】
これは、このシリーズで紹介した姪に、姪が中2の頃に解いてもらった問題である。私は姪にこう言った。「いいかい。 have(has)は『〜を持っている』という意味もあるけど、『〜を飼っている』という意味もあるんだよ。Ken は人の名前だよ」と言った。その上で、解いてもらった。
姪は A dog has Ken. の意味を「ケンは犬を飼っている」と答えた。これは誤訳である。
「単語の意味さえ分かれば、英文の意味は分かる」と思い込む人ほどこの問題は間違える。こういう誤訳をする人は「犬が人を飼うわけがない。したがって『ケンは犬を飼っている』だろう」と判断してしまうのである。
↑こんな考えだから、いつまでたってもこんな単純な英文の意味でさえ間違う。
have(has)は他動詞。直後に目的語が必要。
「have 〜」で「〜を持っている」や「〜を飼っている」という意味である。
したがって
「has Ken」…これは「ケンを持っている」や「ケンを飼っている」という意味でなければならない。
そして、全文は
A dog has Ken. なのだから「ある犬がケンを飼っている」という意味である。何かファンタジー小説か何かのお話ならば、犬が人間を飼っていておかしくなかろう。そういう場合、英語では
A dog has Ken.
(ある犬がケンを飼っている)…と表現される。こんな英文でも英語としては少しもおかしくない。
ところが、他動詞のルールを知らずにこの英文を読もうとすると、常識で考えてしまい「ケンは犬を飼っている」と誤訳しやすいのである。
金曜日はいつもの文法放送。この続きは来週の月曜日です。