今日は「名詞」について考えます。
とりあえず日本語の辞書で「名詞」を調べますと、「品詞の一。自立語で一定の活用がなく、人・事物などの名を表し、助詞「が」を伴って文の主語になることができる語」(角川新国語辞典より)とあります。これはあくまで日本語の「名詞」について言えることでしょう。でも英語でも参考になります。
例えば、日本語の名詞「本」は、英語でも名詞で「book」になります。たいていの場合、日本語の名詞に対応する単語には、英語の名詞の単語があります。
定義では⇒【助詞「が」を伴って文の主語になることができる語】と言っているのだから、確かめしょう。
⇒「本がある」
問題ないですね。だから本は名詞です。
他の品詞で確かめましょうか?
例えば動詞(食べる)。
⇒「食べるが必要である」
おかしいですね。だから「食べる」は名詞ではないのです。
でも例えば
⇒「食べることが必要である」
とするならばどうでしょうか? 「食べること」と書いて主語にしてしまえば日本語でも意味が通ります。
もっとも日本語だと「食べる(動詞)」と「こと(名詞)」と単語を2つに分けて、品詞を別にして考えます。
ところが(たまたまこのパターン[食べること]だと)英語だと品詞を分けずに1語で使うことができます。
食べる(動詞)は eat ですが、
「食べること」という意味を表すには、例えば「eating」という1語で表現できるのです。
とするならば、eating(食べること) は「名詞」でしょうか? だって「食べることが必要である」と出来ますから、日本語の定義に則れば、eating(食べること) は「名詞」になるはずです。
ところが⇒実は(英語の場合は)、eating は品詞的には「動詞」扱いのままです。
⇒⇒(重要)ただし、文の中の役割としては「名詞扱い」します。
★↑ここがわかりにくいかもしれません。
「eating の品詞は何か?」←と問われれば、それは「動詞」と答えなければなりません。しかし、(食べること)という意味を表す eating
は「主語」になれるわけです。日本語の定義で言えば充分「名詞」になってしまいます。
仕方がないので、英文法の世界では↓こういう言い方をします。
「食べること」という意味の eating は、
・品詞としては「動詞」である。
しかし
⇒・役割は名詞なので「名詞相当語句」である。
「食べること」という意味の eating は、⇒【「名詞」に相当する語句である】...と呼ぶのです。
なお、このような「食べること」という意味の eating は「動名詞」という呼び名で使われます。
これは
・品詞としては「動詞」だが、役割は名詞なので「名詞相当語句」である。
という意味を表した「呼び名」なのです。
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英語の場合は、このように「主語に成れるもの」を「名詞相当語句」と呼びます。
(注意:「主語」よりも「目的語に成れるもの」を「名詞相当語句」と呼ぶケースののほうが多いです)。
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こうした「名詞相当語句」というものは、英語には以下のものがあります。
・動名詞
・不定詞の名詞(的)用法
・名詞節(that節<thatが省略されるケースもあり>、if節、whether節、wh-節)
名詞相当語句についてはこちら(全8回)もご参照ください。
よろしいでしょうか? 次回は形容詞です。来週の月曜日の更新の予定です。