苦手なりの受験英語(アルク版)

英語嫌いの英語教師の理由(8)

英語が嫌いなのに英語の先生をやってる理由
その7・何が精一杯かがわかるから

 例えばAくんは「今日は英語の勉強をしよう」と思い立ったとき、90分ぐらい普段勉強するとします。勉強しなきゃ成績は上がりません。逆に言えば勉強すれば成績は上がるはずです。だからこういう人は大抵の場合、成績が普通レベルかそれ以上になります。
 しかし、例えば別のBくんの場合、「今日は英語の勉強をしよう」と思い立ったとき、1分だって勉強しない人だとします。アルファベット見たって読めないし、単語の意味が仮にわかったって、文の意味はわからない(考えたくない/どうせ間違う)。単語をいちいち辞書で引っ張るのが嫌だ。面倒だ。だからやらないやりたくない…こういう人だとします。こういう人は大抵の場合、どうしようもなく英語ができず、結果、英語嫌いになります。

 普通、Bくんのような人が英語の先生になるでしょうか? 英語の先生になる人はたいていAくんのような人ばかりになるはずです。

 さて、ここで問題Bくんが3分英語の勉強をしたとします。(たった3分ですよ)。その後はゲームで遊んでます普通の先生だったら、どういう感想を持つでしょうか? 「なんでたった3分しか勉強しないんだ?」となるはずです。

 では私の場合はどうでしょう? Bくんが3分英語の勉強をしたとします。(たった3分ですよ) 私の感想は「えー3分も勉強したの!? どうしたんだ? 今日はスゴイな!」 になります。なぜそんな感想になるか? それは私がかつてはBくんに他ならなかったためです。

 Bくんのような人は1分だって英語に取り組みたくない。普段は1分だって英語に取り組みません。そんな人が、いきなり英語の勉強を1時間はおろか、30分だって勉強できたらスゴイです。しかしまずこんな長い時間勉強できるはずがない。1分でも英語に取り組めたらそれはそれでスゴイことです。

 …ということを普通の先生はわからないのです。1分でも英語に取り組めたらどれだけスゴイことかを彼らはわからないはずです。だから、Bくんを叱るはずです。「なんでそんな少ししか勉強しないんだ?」と。

 一方私は叱りません。叱るくらいなら褒めると思います。「今日はよく勉強できたね」と。もちろん、3分じゃ成績は上がりません。しかしそれ以上は酷&無理であると私はよく分かるのです。最初は1回に付き3分でも良い。いきなり30分なんて不可能。3分が10分になり、10分が30分になれば良いのです。そして30分が1時間、2時間を増えていくことを期待するしかないと思うのです。

 残念ながら、こういう英語が苦手な人が得意になる、いや、普通になるのでさえ、得意な人の倍以上の勉強時間が必要です。ですが、普通の英語が苦手な中学高校生は、得意な人の20分の1以下の勉強時間しかしないでしょう。まずはそれで精一杯なのです。精一杯なのを理解して、徐々に勉強時間数を増やしていく、、、こうしなければ成績は上がりません。

 ですが、普通の英語の先生じゃ、勉強時間が増える前に「叱ってしまう」のです。「なんでそんな少ししかやらないのだ?」と。これじゃあ、英語のできない人は困るだけだと思います。

 ところが私はそうならない。そうならないようにナチュラルに待てるような先生は…私のような英語嫌いな英語教師しかいないのではないでしょうか?

 金曜日は文法放送。この続きは来週の月曜日です。

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