今回は「副詞」という言葉の説明の続きです。まずは前回の出だしを概ね再放送します。
副詞の定義
⇒「(例外はあるが)名詞以外を修飾するもの」
副詞は具体的には以下の4種類がある、と(一応)されます。
・(1)動詞を修飾するもの
・(2)形容詞を修飾するもの
・(3)副詞を修飾するもの
・(4)文全体を修飾するもの
この4つです。おおむねこの4つに入るはずなのですが、(本当はどちらも(1)に分類されるのですが)、あと3つ
・(5)場所や時間に関するもの
・(6)形容詞に近く「補語」と言っても良いもの
・(7)前置詞に近いもの
といったものもあります。(本当は[例外的に]名詞を修飾する副詞もあるのですが、そこまでは細かすぎるので、今回はそれは省きます)
前回は(1)〜(4)を説明しました。
今回は(5)〜(7)について、それぞれを1つづつ見ていきましょう。
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・(5)場所や時間に関するもの
例文
I went there.(私はそこに行った)
I went home.(私は家に行った)
I met her yesterday.(私は昨日彼女に会った)
I will meet her tomorrow. (明日彼女に会おう)
↑
これらの英文の、there(そこに)、home(家に)は、場所に関する副詞です。yesterday(昨日)、tomorrow(明日)は時間に関する副詞です
これらの副詞は実際は、ほとんどの場合、「動詞を修飾している」とされます。
「そこに⇒行った」
「家に⇒行った」
「昨日⇒会った」
「明日⇒会う」
といった具合です。
問題は、これらの「場所や時間に関する副詞」は「名詞」と勘違いされやすい、という点です。
確かに、例えば home には名詞もあります。しかし home を「家に」という意味で使いたい場合、
○I went home.
×I went to home.
という具合に使います。
これが名詞だったら違いますよ。例えば、school(名詞)の場合
×I went school.
○I went to school.
となります。なぜ、to がいるのかについて、分からなければこの辺を参照してください。
よろしいでしょうか?
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・(6)形容詞に近く「補語」と言っても良いもの
例文
He is out.(彼は外出中だ)
The meeting is over.(その会議は終わった)
I kept the radio on.(私はそのラジオをつけっぱなしにした)
普通、副詞は文の要素(主語、動詞、目的語、補語)のどれにもなれません。
しかし、一部の副詞は「補語」とされ得るものがあります。
それは以下のものです。どれも「前置詞」っぽい顔?をしています。
down, in, off, on, out, over, through, up
↑どうです? 前置詞に見えませんか? 確かに前置詞の用法もあります・
しかし、辞書を見れば分かりますが、これらには「副詞」の用法もあります。(より副詞らしい方法は次の(7)で説明します)
ここでは、これらの「前置詞っぽく見える副詞」が形容詞っぽく使われるケースを説明します。
例文で言えばそれぞれ「補語」と言える場所でこれらの副詞は使われているのです。
・He is out.⇒ He=out (彼=外にいる状態)
・The meeting is over.⇒The meeting=over(会議=終わった状態)
・I kept the radio on.⇒the radio=on(ラジオ=ついている状態)
という具合です。副詞なのですが「補語」として機能しています。
確かに、さすがに、〜ly とつくような副詞は補語にはなれませんが、
down, in, off, on, out, over, through, up
といった「副詞」は「補語」と認定される場合があります。補語ですから、実質は『形容詞』に近い副詞です。
(注意! コテコテの「5文型学習時」では、こういった副詞は補語と認められない場合がほとんどです。「副詞」は文の要素には入らないとされているためです。しかし、<認められなくても、例文のようなケースの「副詞」は実質的には「補語」>と覚えていればいいと思います)
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・(7)前置詞に近いもの
例文
She put on a coat.
She put a coat on.
She put it on.
She sat down.
↑これらの on や down こそ、前置詞に近いです。近いだけです。これらは近いだけであり、「前置詞」ではありません。これらの on や down はれっきとした「副詞」なのです。ですが、一見、前置詞に見えますよね。どうして副詞なのかを説明します。
まず↓これから行きましょう。
She put on a coat.(彼女はコートを着た)
この文の on は前置詞に見えませんか? しかしこの on は前置詞ではありません。「副詞」です。
一方例えば
They depend on Mike.(彼らはマイクに依存している)
この文の on は前置詞です。副詞ではありません。
この違いを考えましょう。
まず、前置詞の例の↓これから行きましょう。
They depend on Mike.
↑この文の on が前置詞なのは、
depend が自動詞だからです。辞書で depend を調べてください。「自動詞」と書いてあります。
(自動詞と他動詞が分からない人はここから見てください)
ここに書いてあるように、自動詞が「〜を」や「〜に」といった「目的語」を取るときは、「前置詞」がいります。したがって、
They depend on Mike.(彼らはマイクに依存している)
↑この文の on は「前置詞」なわけです。ここまでよろしいでしょうか?
では、↓この文の on はなぜ「副詞」なのでしょうか?
She put on a coat.(彼女はコートを着た)
↑この文の場合、「put on」という熟語になっています。意味は「(服など)を着る;着用する」という意味です。
意味が分かっても、ここでは辞書で put on を調べてみましょう。『put on』の見出し語で載っているはずです。必ず引いてください!
もしあなたの辞書が、ジーニアスであれば
put on [他]
と書かれているはずです。
もしあなたの辞書が(私のお勧めの)サンライズクエストであれば
put on <分他>
と書かれているはずです。<分他>←この意味が分かりますか?
これは
「put(他動詞)+ on(副詞)」の熟語
という意味なのです。どういうことか?
実は、
<分他>と書かれている熟語は、目的語を「他動詞」と「副詞」の間に入れることができる
のです。
つまり↓
She put on a coat.
=She put a coat on.
↑この文の a coat に着目してください。a coat は「目的語」です。
<分他>の熟語の目的語は on の手前でも良いし、on の後でも良いのです。
一方 depend on はどうでしょう? 辞書を引いてみましょう。そこには[他]とか<分他>とは表示されていません。
実は depend on は
「depend(自動詞)+on(前置詞)」の熟語
なのです。こっちは、<分他>とは違い、目的語を「動詞」と前置詞」の間に入れることができません。
つまり
○They depend on Mike.
×They depend Mike on.
↑このように、on の手前に Mike を置くことができないのです。
「他動詞+副詞」の熟語(例 put on)
「自動詞+前置詞」の熟語(例 depend on)
には、このような差があるわけです。ここまでよろしいでしょうか?
「他動詞+副詞」の熟語には、知らなければならない重要な文法がもう1つあります。
↓
「他動詞+副詞」の熟語は、目的語が代名詞の場合、⇒「他動詞+目的語+副詞」の順番にしなければならない
というルールがあります。
例えば、it のような代名詞を目的語にしたい場合、
×She put on it.
○She put it on.(彼女はそれを着た)
となります。on の 手前にit を置かなくてはならず、on の後に it を置くことはできません。「自動詞+前置詞」の熟語と真逆になりますね。
ここまでよろしいでしょうか?
今やったのは「他動詞+副詞」の熟語でした。
これとは別に「自動詞+副詞」という熟語もあります。
例文
She sat down.(彼女は座った)
↑この英文の場合、down は前置詞のはずはありません。もしこの down が前置詞なら、down の右に名詞がなければなりませんから。
しかし、down の右に名詞がなくても、これは正しい英文です。
実は
sit down は「自動詞+副詞」の熟語
なのです。
「sit(自動詞)+down(副詞)」
という具合です。
sit は(辞書を引けば分かるように)自動詞です。だから後ろに目的語があってはいけません。sit の右に「(目的語となる)名詞」はないです。あったら誤文です。
またこの down は副詞なのです。だからその後ろに目的語となる名詞がないのです。
こういった風(自動詞+副詞)に使う場合の「副詞」も英語には存在します。
いかがだったでしょうか? 以上が副詞の説明でした。(長かったなあ〜^^)
明日はいつもの文法動画です。このシリーズの続きは月曜日です。
(↓目次はこちら)