苦手なりの受験英語(アルク版)

謎の言葉? よく見かける『文法用語』を教えます!(13)

今回は「分詞」という言葉の説明しましょう。今日は後編です。

分詞」には「過去分詞」と「現在分詞」があります。前回は(主に)中学でやった内容を紹介しました。今回は(普通は)高校で初めてやる内容です。

(1)I know the running boy.
(2)I know the boy running in the street.
(3)I know the kicked boy.
(4)I know the boy kicked by her.

上の(1)〜(4)をまずご覧ください。
 (1)と(2)は「〜ing」がある。でも「進行形(be+〜ing)」ではない
 (3)と(4)は「−ed」がある。でも「受動態(be+過去分詞でも完了形(have[has,had]+過去分詞)」でもない
…ということはお分かりになりますでしょうか?

この「〜ing」と「−ed」の正体だけ先に言っておきましょう。
この
 (1)と(2)の「〜ing」は「現在分詞」である
 (3)と(4)の「−ed」は「過去分詞」である
実は↑こうなんです。

「進行形や受動態や完了形」以外にも、現在分詞過去分詞は使われるのです。これが(1)〜(4)のような英文です。

では、「進行形や受動態や完了形」以外で使われる現在分詞過去分詞」がどういったものか?
これについて説明しましょう。

実は
 「進行形や受動態や完了形」以外で使われる現在分詞過去分詞」は
  「形容詞」と似ている
のです。

↑どういうことか分かりますでしょうか?

例えば↓この英文を見てみましょう。
 I know the beautiful boy.
         ↑この beautiful は「形容詞」でしたね。
この形容詞beautiful」は、次の名詞boy」を修飾しています。
 beautiful ⇒ boy
  美しい ⇒ 少年
といった具合です。だから
 I know the beautiful boy.←この意味は
 ⇒「私はその美しい少年を知っている」
となります。

では、beautifulrunning取り換えます
(1)I know the running boy.←この意味はどうなるでしょうか?
実は、この running は「走っている」という意味を持っています。

 ほら! ↓進化形のとき
 He was running. 「彼は走っている」という意味でしたよね。

(1)I know the running boy.の場合の「running」は
 進行形のときに作られる意味⇒「走っている」という意味があるのです。
だから、
(1)I know the running boy.の意味は
   ⇒「私はその走っている少年を知っている」
となるのです。
 この使い方は「形容詞beautiful」の使い方とソックリです。
つまり
  beautiful ⇒ boy
  美しい ⇒ 少年
となるのと同じように
  running ⇒ boy
走っている ⇒ 少年
という具合です。

ようするに、
 running は、名詞boy修飾している
のです。

今度は↓このケースを見てみましょう。
(2)I know the boy running in the street.
今度は、boyrunning位置が、(1)と逆転しています。
しかし、実は(2)も(1)と同じように
 running は、名詞boy修飾している
のです。

(1)と(2)の相違点は、修飾語句が「1語」か「2語以上」か、という点です。

修飾語句が「語」の場合⇒「分詞名詞」の順番になります。
 例:(1)I know the running boy.(私は走っている少年を知っている)
修飾語句が「以上」の場合⇒「名詞分詞」の順番になります。
 例:(2)I know the boy running in the street.(私はその通りを走っている少年を知っている)

どちらにしろ、「現在分詞running」は「名詞 boy」を修飾しています。
「1語のみ」か「2語以上」かで、「からかかる」か「ろからかかるか」が決まるのです。
ここまでよろしいでしょうか?

 それにしても、英語の苦手な人は(1)や(2)のような英文の意味を捉えるのは難しいのではないかと思います。
(1)I know the running boy.
(2)I know the boy running in the street.
   どうです? ↑こういった「現在分詞が、形容詞のように名詞修飾している英文」の意味が「楽に」わかりますか? 特に(2)のように「後ろからかかる」場合、意味を取りづらいと思います。いかがでしょうか?

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今度は、(3)と(4)について考えます。実は(1)と(2)とさほど変わらないのですけどね。

例えば↓この英文を見てみましょう。
 I know the beautiful boy.
         ↑この beautiful は「形容詞」でしたね。
この形容詞beautiful」は、次の名詞boy」を修飾しています。
 beautiful ⇒ boy
  美しい ⇒ 少年
といった具合です。だから
 I know the beautiful boy.←この意味は
 ⇒「私はその美しい少年を知っている」
となります。

では、beautifulkicked取り換えます
(3)I know the kicked boy.←この意味はどうなるでしょうか?
実は、この kicked は「蹴られた」という意味を持っています。

 ほら! ↓受動態のとき
 He was kicked. 「彼は蹴られた」という意味でしたよね。

(3)I know the kiced boy.の場合の「kicked」は
 受動態のときに作られる意味⇒「蹴られた」という意味があるのです。
だから、
(3)I know the kicked boy.の意味は
   ⇒「私はその蹴られた少年を知っている」
となるのです。
 この使い方は「形容詞beautiful」の使い方とソックリです。
つまり
  beautiful ⇒ boy
  美しい ⇒ 少年
となるのと同じように
  kicked ⇒ boy
蹴られた ⇒ 少年
という具合です。

ようするに、
 kicked は、名詞boy修飾している
のです。

今度は↓このケースを見てみましょう。
(4)I know the boy kicked by her.
今度は、boykicked位置が、(3)と逆転しています。
しかし、実は(4)も(3)と同じように
 kicked は、名詞boy修飾している
のです。

(3)と(4)の相違点は、修飾語句が「語」か「以上」か、という点です。

修飾語句が「語」の場合⇒「分詞名詞」の順番になります。
 例:(3)I know the kicked boy.(私は蹴られた少年を知っている)
修飾語句が「以上」の場合⇒「名詞分詞」の順番になります。
 例:(4)I know the boy kicked by her.(私は彼女に蹴られた少年を知っている)

どちらにしろ、「過去分詞kicked」は「名詞 boy」を修飾しています。
「1語のみ」か「2語以上」かで、「からかかる」か「ろからかかるか」が決まるのです。
ここまでよろしいでしょうか?

 それにしても、英語の苦手な人は(3)や(4)のような英文の意味を捉えるのは難しいのではないかと思います。
(3)I know the kicked boy.
(4)I know the boy kicked by her.
   どうです? ↑こういった「過去分詞が、形容詞のように名詞修飾している英文」の意味が「楽に」わかりますか? 特に(4)のように「後ろからかかる」場合、意味を取りづらいと思います。

また!

(3)や(4)ように「過去分詞」が規則変化する動詞(もしくは1部の不規則変化動詞)の場合、(1)と(2)と違い、『もっと間違い易く』なります。

例えば
 ↓これを見た場合
(3)I know the kicked boy.
(4)I know the boy kicked by her.

  ↑(3)や(4)の kicked が「動詞の過去形」に見えないでしょうか? どうでしょうか? 特に英語の苦手な人は『過去分詞だ』とは思えず、「過去形」と判断し、間違った文の意味を作ってしまうことがほとんどです。

でも、(3)(4)英文kicked は絶対に「過去分詞」なのです。
どうしたら、すぐにそれがわかるでしょうか?
方法をご説明します。

・(3)の場合(こっちは(4)に比べれば簡単)
(3)I know the kicked boy.
   もし、kicked が「動詞の過去形」であれば、kicked の『手前』は「主語になる名詞」があるはずです。
 例えば You kicked him.(あなたは彼を蹴った)
        ↑
    こんなふうに、 kickd の『手前』には「主語you)」という「名詞」が必要なはずです。
しかし
(3)I know the kicked boy.
         ↑
   kicked の『手前』には、「名詞」がありません。(the という冠詞になっています)
したがって、
 「(3)I know the kicked boy.」の kicked は「動詞の過去形」のはずがありません

「動詞の過去形でない場合」は ⇒ 残りの唯一のケース、すなわち、
 「過去分詞
…と分かるのです。

・(4)の場合(こっちは(3)に比べれると難しい)
(4)I know the boy kicked by her.

(4)の場合、「動詞の過去形」か「動詞の過去分詞」か怪しい単語(今回ならば、kicked)をもう少し詳しく調べる必要があります。その単語が「自動詞か他動詞のどちらなのか」か重要になります。
 今回は kick です。kick は通常「他動詞」ですね。だから、目的語が『直後』に必要です。
 例えば You kicked him.(あなたは彼を蹴った)
                 ↑
 kicked の『直後』には、こんなふうに「目的語him)」という「名詞」が必要なはずです。
しかし
(4)I know the boy kicked by her.
                     ↑
   kicked の『直後』には「名詞」がありません。(by という前置詞になってしまっています)
したがって、
 「(4)I know the boy kicked by her.」の kicked は「動詞の過去形」のはずがありません

「動詞の過去形でない場合」は ⇒ 残りの唯一のケース、すなわち、
 「過去分詞
…と分かるのです。

「過去分詞か、過去形か」が怪しい単語に出くわした場合、どちらなのかを、こうやって1回1回確認する必要が、英語が苦手な人にはあると思います。

以上が、「分詞」の基本用法でした。

なお、分詞についてはまだ説明しなければならないものが残っています。
それは「分詞構文」と呼ばれるものです。分詞構文は分詞構文でとても厄介です。

分詞構文の説明は「ここ」にあります。分詞構文を学びたい人はここでしっかり内容を把握しましょう。

以上が「分詞」の説明でした。いかがだったでしょうか?

次回は木曜日の更新です。

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