苦手なりの受験英語(アルク版)

勉強法。苦手な人へ・指導者へ(19)

・英語嫌いは⇒単語をいくら覚えても、得意になった気が全くしない。

テーマ
【誰でも】単語を覚えれば覚えるほど、それに比例して英語の力が伸びるように感じるのか?

苦手な人へ

あなたは「英単語を覚える」のに相当苦労しているはずである。ただ今回は「その苦労」の話ではない。
あなたに訪ねたいことがある。

「単語を覚えた分に比例して、英語力が上がった感覚があるかどうか?」
「単語を覚えれば覚えるほど、その分英語力がアップした感触があるかどうか」

あなたの場合、NO!のはずである。「いくら単語を覚えたところで、その分の英語力がアップした〜」という感覚はないはずである。
少なくとも、「伸びた〜〜〜」と人に言えるほどに伸びた感覚は【ない】はずだ。

だが、得意な人はそうではないのだ。

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指導者へ

あなたもそれなりに「英単語を覚える」のに相当苦労しているはずである。ただ今回は「その苦労」の話ではない。
あなたに訪ねたいことがある。それは

特に英語を学び始めた頃
「単語を覚えた分に比例して、英語力が上がった感覚があったかどうか?」
「単語を覚えれば覚えるほど、その分英語力がアップした感触があったかどうか」

あなたの場合、Yes! のはずである。「単語を覚えた分だけ、その分英語力がアップした〜」という感覚があったはずである。
「伸びて嬉しい」みたいな感触があったはずだ。

しかし、英語が苦手な人は「そんな感覚がまるでない」のである。

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マウスバードの一言

twitterで、英語の先生向けのbotでこんなのが流れてきた。

> 英語苦手なひとの大部分は単語だけ覚えればかなり進歩するはず。単語は覚えれば覚えるほど覚えても覚えても進歩が感じられなくなるけど逆にいうと最初は簡単に進歩が感じられる。

これにかなり頭に来た私は、↓こう反論ツイートをした。

"断言するが、絶対にそんなことはない。てめえは英語が苦手だったのか? そうであるなら認めてやる。断言するがてめえは絶対英語が苦手だった時期がない。俺は英語が超苦手だった。だから分かる。英語が苦手な人は、単語を山ほど覚えたぐらいでは、絶対に進歩しない!"

以下、英語が苦手な人は「なぜ単語をいくら覚えたぐらいでは、ちっとも進歩を感じられないか」を説明する。

●単語の意味が正しく分かっても、文の意味は間違えまくるから

[例1] The suggestion which I made was rejected.
suggestion は「提案」 reject は「〜を拒絶する」という意味である。
英語が苦手な人はこれでも、100% この英文の意味が正しく分からない。

[例2] I know the boy whom she loves. 
英語が苦手な人は、この英文の意味を100%誤訳する。
概ね⇒「私はその少年が彼女を好きなことを知っている」と誤訳する。
正しくは⇒「私は彼女が好きな少年を知っている」だ。しかし苦手な人は絶対に一発でこのように正しく訳せない。
また「この2文の意味の違い」が分からない苦手な人もいる(国語力に問題がある)。

[例3] What is war?
英語が極端に苦手だと、こんなたった3語の英文ですら誤訳する。
(私のある英語が苦手な生徒(高3[中3ではない])は、これを「何戦争ですか?」と訳した)

[例1〜3]に共通することがある。
★英語が苦手な生徒は、仮に課題の英文の意味を正しく取れたとしても、本人には「その意味があっている自信がない」のだ。
むしろ逆。つまり、

英語が苦手な生徒は
 1つ1つの単語の意味は分かった場合でも、文全体の意味だと間違った経験ばかりを積み重ねている。
のである。

しかし得意な人はそうではない。
 What is war? を絶対に「何戦争ですか?」と訳して恥をかいた経験はないはずである。
むしろ、「ちょっと長めの英文でも、上手く訳せて褒められた経験が(沢山)ある」のではなかろうか?
だから、得意な人は「覚えた単語の数に比例して英語力が伸びた気がする」のではないかと思う。

さて、そんじゃあ、「英語が得意な人」に「英語が苦手な人の感覚」を味わっていただこう。
算数が嫌いな人用の説明である。
例によって「数学(今回は算数)」と入れ替える。
Ψ(`∀´)Ψケケケ

【問題】
3×4+8÷4−1+12×36−7+2753
を答えよ。

3の意味も、4の意味も、8の意味も分かるはずである。
×の意味も、+の意味も、−の意味も、÷の意味も分かるはずである。

(3とか、+ とか)←これらの意味が分かれば分かるほどそれに比例して、あなたは数学(これは算数だが)の力が伸びる気がするだろうか? 進歩を感じられるだろうか?
しないはずである。

なぜあなたはしないのか?
⇒数学(算数)が苦手な生徒は、仮に正しく答えを出せたとしても、本人には「その答えがあっている自信がない」からである。
違うだろうか?

英語が苦手な生徒も同様である。
(与えられた英文の)1つ1つの単語の意味は分かった場合でも、文の意味を間違って受け取った経験ばかり積み重ねている。
のである。

だから英語が苦手な人は「単語を沢山覚えたぐらいでは、ちっとも進歩を感じられない」のである。

What is war? でさえ間違える人は間違える。こういう人は「10個も20個も30個も単語が並ぶ英文」の意味は「仮に単語の意味は全て適切に覚えていたとしても」、正しく分かる自信がないのだ。

 むしろまず間違える。そしてこの場合、下手をすると「英語の指導者」にこのように言われる⇒「なんでお前は単語の意味をちゃんと把握してるのに、文の意味だと間違えるのか?」と。

 仮に、そう言われなかったとしても、英語の苦手な人は「文だと意味を正しく作れない自覚、いや、自信」があるのだ。

これは、数学嫌いな人が「たとえ定義や公式をたっぷり正確に覚えていたとしても、出題された問題の答えには自信がない」のと全く同じなのだ!
数学嫌いな人は「定義や公式をたっぷり正確に覚えていた」としても、間違った経験が多いはず。そういう人は、【定義や公式覚えれば覚えるほど進歩が実感できた】でしょうか?
せいぜい「大同小異」ではないでしょうか?

今週の金曜日の文法放送はゴールデンウィークでお休みです。来週に行います。この話の続きは月曜日です。

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