辞書は何のためにあるのか?
『テーマ』
苦手な人は辞書を引かなければ得意になれない
【苦手な人へ】
断言する。
あなたは英文中に分からない単語があったとき、辞書をめったに引かない。とにかくできるだけ引きたくない。まともに分からない単語を引いたら莫大に時間がかかる。頑張ってちゃんと引こうが引くまいが、英文の意味を作るとだいたい間違っている。だから引く気が起こらない。
そういうあなたが興味を抱く1つの勉強法を見つける場合がある。その勉強法とは「辞書を引かなくていいという勉強法」だ。
だがよく考えよう。
あなたはとっくに「辞書は引かなくていいという勉強法」をしてきてないか? 今までにどれだけ辞書を引くのを避けてきたのかね?
「辞書は引かなくていいという勉強法」というのは「できるだけ辞書を引かない勉強法」だ。
あなたの場合はとっくの昔に「辞書は引かなくていい勉強法」を実践しているのさ。それの「ベテラン」と言って良い。今でも実践しているはずだ。違うかね?
で現状の成績はいかがだろうか?
つまり、あなたの場合は、とっくの昔から「辞書は引かなくていい勉強法」の経験者であり、既に「それ」で失敗しまくっているのである。
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【指導者へ】
あなたの場合でも、辞書はあまり引かなかったのではなかろうか? (無論、引きまくった指導者も大勢いるはずだ。しかし今回はその人は度外視する)
あなたは英文中に分からない単語があったとき、極力辞書を引かないで、単語の意味を類推する訓練をしてきたのではないか。
あなたの場合、あってたり、間違っていたりだったろう。そして確認の意味で辞書を引くことは多くあったろう。そして同時に意味をたくさん覚えたであろう。
そういうあなたが興味を抱く1つの勉強法を見つける場合がある。その勉強法とは「辞書をひかなくていいという勉強法」だ。
あなたの場合も「辞書は引かなくていいという勉強法」を、ある程度してきた。そしてその有用性も分かっている。だから、あなた(指導者)の場合は、生徒に「極力類推せよ!」と言ってしまうかもしれない。
問題は、生徒がどの程度の実力があるかに依る。
生徒が全員「類推出来るほどの実力があればいい」。そういう優秀な生徒ばかりを教える環境ならばいいかもしれない。だが普通はそうではないだろう。実力ある人とない人と一緒の授業になるはず。
だったら、「辞書を引かない学習法は有用である!」と授業で言うべきであろうか?
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【マウスバードの一言】
自慢じゃないが、私は中学高校で辞書なんざまともに引いたことがない。
中学だったら、1文に分からない単語がだいたい3つ以上ある。その1つを引いただけで1分はかかるだろう。
まず
1つ目の分からない単語を引くと、意味が3つも4つも書いてある。どれになるか見当もつかぬ。
2つ目の分からない単語を引くと、意味が3つも4つも書いてある。どれになるか見当もつかぬ。
3つ目の分からない単語を引くと、意味が3つも4つも書いてある。どれになるか見当もつかぬ。
そして全体を見る。単語の意味の数珠つなぎをし、「こんな意味かなあ」と考える。宿題などでやむおえない場合は、ノートに「文の和訳例」を書いておく。
ここまでで7、8分ぐらいかかるだろう。ここまでで「たった1文」だ。そこまで時間をかけて作った訳例は、十中八九「誤訳」であった。
しかし教科書の英文はこれが10〜12行ぐらいある。「7、8分×10〜12行」分の時間がかかる。
したがってもしまともにやったら、2時間ぐらいかかって、なおかつ90%「誤訳」であったろう。
高校だったら、1文に分からない単語がだいたい6つ以上ある。それが20行ぐらいある。
したがって、もしまともにやったら、4時間ぐらいかかって、なおかつ90%「誤訳」であったろう。
当時の私が辞書など引く訳がない。
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そんな私にとって「辞書は引かなくていい勉強法」は魅力的に映った。
しかし、実践者は皆「少なくとも私のような英語できらず」は一人もいなかった。
『辞書を使って単語の意味が分かった上で訳例を作っても、間違いを連発するような英語できらず』が、「辞書は引かなくていい勉強法」なんて実践出来るはずがなかったのである。
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浪人時代、私は心を入れ替えた。
私は辞書を引きまくった。
1文に分からない単語がだいたい6つ以上ある。最初のうちはその1つを引いただけで1分はかかった。
まず
1つ目の分からない単語を引くと、意味が3つも4つも書いてある。どれになるか見当もつかぬ。
2つ目の分からない単語を引くと、意味が3つも4つも書いてある。どれになるか見当もつかぬ。
3つ目の分からない単語を引くと、意味が3つも4つも書いてある。どれになるか見当もつかぬ。
4つ目の分からない単語を引くと、意味が3つも4つも書いてある。どれになるか見当もつかぬ。
5つ目の分からない単語を引くと、意味が3つも4つも書いてある。どれになるか見当もつかぬ。
6つ目の分からない単語を引くと、意味が3つも4つも書いてある。どれになるか見当もつかぬ。
そして全体を見る。単語の意味の数珠つなぎをする。(次第に文法で考えるようにはなったが)「こんな意味かなあ」と考える。ノートに「文の和訳例」を書いておく。
このように1文の意味をつくるまで約10分かかった。ここまでで「たった1文」だ。(授業後で初めてわかるが、そうまでして時間をかけて自力で作った訳例は、十中八九「誤訳」であった)
それでも私は毎授業、テキストの英文を全て自力で訳例を作った。初期の1授業分の英文は20行ぐらいだった。だから当時90分の授業1回分の予習で「10分×20行」の時間がかかった。3時間以上である。
しかし、浪人時代の私はこれを【毎授業で】やり遂げた。参考(90分の授業に対しての私の最高予習時間は6時間である)
★だから私は、英語の成績を上げて、大学に合格できたのである。
金曜日はいつもの文法放送。この続きは来週の月曜日です。