「自動詞と他動詞の知識」を知っていれば、分かる・解ける、役に立つ、話題です。
「自動詞・他動詞」が分からなければ、今回の記事を読まず、先にこちら(2)(リンク)から(4)までに読んで、「自動詞と他動詞の知識」を覚えて下さい。
では今回はこんなケースを考えましょう。
<受動態で困る編>
【問題】
次の意味の英語を作る場合、正しいかどうか判定しなさい。
(1)「恵美は殺された」⇒・Emi was killed.
(2)「恵美は待たされた」⇒・Emi was waited.
【正解】
(1)・Emi was killed.…正しい
(2)・Emi was waited.…間違い
【解説】
理由は kill が「他動詞」、wait が「自動詞」だから間違いである。以上。
…と言われて、あなたはすぐに「そうかーなるほどー」と納得するだろうか? 私は0.5秒で納得する。それは「自動詞と他動詞」がどういうものかをしっかり理解しているからである。しかし、もし「自動詞と他動詞」がどういうものかをしっかり理解していなければ、即時の納得は難しいと思う。
長い説明になるので、今回は(1)・Emi was killed. がなぜ正しい英文になるのか…だけ説明する。(2)・Emi was waited.がなぜ間違った英文になるのか、の説明は次回に持ち越す。
まずこの英文は「受動態」である。そもそも受動態が分からないと困るので受動態を軽く説明する。受動態は中3でやるのに苦手な人が多い。
まず受動態ではない「よくあるタイプの英語(能動態という)」を書く。例えば
「ケンは恵美を殺した」という意味の英文を考えよう。
・Ken killed Emi.
となる。これは正しい英文である。
この英文はケンが主人公である。「ケンが行った行動」を示している英文だ。「ケン」が主人公で、「ケン」が「恵美」を殺したのである。
・Ken killed Emi.だと(ケンは恵美を殺した)で、ケンが主人公だが、そうではなく、恵美を主人公にしたい。つまり「恵美は殺された」…という意味の英文を作りたい。その場合どうすればよいか?
そのためにはまず Emi を文頭に持ってこなければならない。
Emi
問題は次。英語を良く知らない人はたまに↓こんなふうに書く。
Emi killed.
↑これで「恵美は殺された」という意味を作った豪語する人がいる。とんでもない。これは大間違いである。
Emi killed.…はそもそも英文として誤文だ。それでも無理やり意味を作ると、この意味は
⇒「恵美は〜を殺した」
である。↑この英文ならば、少なくとも恵美は殺されていない。ピンピンして生きている。「恵美は何か(誰か)を殺したほう」になってしまうのだ。
なぜか?
kill の意味は何だろうか? 「〜を殺す」である。「殺される」ではない。「〜を殺す」である。
したがって
・Emi killed.
は
恵美は 〜を殺した
⇒「恵美は〜を殺した」という意味になる。(今回の killed は過去形。なので意味は「〜を殺す」ではなく「〜を殺した」になっている) 恵美は殺されたのではなく、殺したほうになる。恵美は死んでいない。ピンピン生きているのである。
だから
・Ken killed Emi.
は
ケンは 〜を殺した 恵美
⇒「ケンは恵美を殺した」という意味になる。(今回の killed は過去形。なので意味は「〜を殺す」ではなく「〜を殺した」になっている)
今回作らなければならない英文の意味は「恵美は殺された」である。Emi は「殺され」なければならない。それをどう表現するか? その時に登場するのが「受動態」である。
●受動態とは be+過去分詞で「〜される・〜られる」という意味を作る。
したがって、
Emi was killed.
be+過去分詞
という具合に使って、ようやく「殺される」を表現できる。これが「受動態の英文」である。なお、本文では be は「is」ではなく「was」という過去形なので、「殺される」ではなく「殺された」という過去の意味になる。
以上が軽い受動態の説明であった。ここまでご理解いただけたであろうか?
金曜日はいつもの文法放送。この続きは来週の月曜日です。