今回は「完全な文」という言葉です。完全な文とはいったいなんなんでしょうか?
「完全な文」という言葉は、特に「関係詞」を習うときに出てくる言葉なのです。先生は「ほら、この部分が完全な文じゃないから、ここは関係副詞ではなく、関係代名詞が入る」と言った具合の説明をしてくださいました。
ところが、この「完全な文」っていうのが私には本当によく分からなかったんですよ。どこがどう完全だから「完全な文」なのか…本当に困りました。「完全じゃない文」とはどういう文なのか?
あなたに分かりますか?
では解説します。
まずは今回のシリーズ(謎の言葉?よく見かける『文法用語』を教えます!)の(2)(3)(4)(5)を読んでください。
絶対に読み直してください!
読みましたね?
それでは、まず(4)の最後の問題文のうちの7つを○×付きで再掲載します。
○(1)I reached the station.
×(2)I reached.
○(3)I arrived at the station.
○(4)I arrived.
×(5)I arrived at.
×(8)I reached there.
○(9)I arrived there.
(2)は何で×だったでしょうか? 他動詞reach(ed)の直後に目的語になる名詞がなかったからですね。
(5)は何で×だったでしょうか? 自動詞arrive(d)+ at の直後に、at の目的語になる名詞がなかったからですね。
(8)は何で×だったでしょうか? 他動詞reach(ed)の直後に目的語になる名詞がなかったからですね。there は副詞だから目的語にはなりえませんでしたね。
実は、この7つのうちの
○ の(1)、(3)、(4)、(9)が「完全な文」
× の(2)、(5)、(8)が「完全な文」ではない
のです。
つまり「必要であるはずの【目的語】がない」文を「完全な文ではない」、と呼ぶのです。
この「完全な文」という言い回しは、関係詞を学ぶとき、普通は出てきます。そのためにしっかりここを認識して欲しいです。
「完全な文ではない文」は、他にもあり得ます。
例えば、(5)の回でやった、
He is a boy. (彼は少年だ)
この英文で考えます。↑これは「完全な文」です。
ですが、では↓この英文は?
He is.
これも実は、「完全な文ではない」、と呼ばれます。
a boy といった部分がないですよね。この部分は「補語」と呼ぶ、と(5)の回で説明しました。
つまり「必要であるはずの【補語】がない」文も「完全な文ではない」、と呼ぶのです。
ここまでよろしいでしょうか?
「完全な文ではない文」は、まだ他にもあり得ます。
まず、以下の英文をご覧ください。
○(1)I reached the station.
○(3)I arrived at the station.
○(4)I arrived.
○(9)I arrived there.
He is a boy.
これらは「完全な文」でしたね。よろしいですか?
では、以下はどうでしょう?
reached the station.
arrived at the station.
arrived.
arrived there.
is a boy.
↑これらはどうですか? そりゃああんた「主語がないよ」という話になりますよね。
実はこのように、「必要であるはずの【主語】がない」文も「完全な文ではない」、と呼ぶのです。
このように「主語がない文」は英語が苦手な人にも「完全な文ではない」と分かりやすいと思います。
しかし!
×(2)I reached.
×(5)I arrived at.
×(8)I reached there.
↑これらの英文が「完全な文ではない」と一瞬で見抜けますでしょうか? 得意な人は見抜けるのですが、英語が苦手な人はこれらを「完全な文ではない」と見抜くことが難しいのです。これらはよく見れば「必要な【目的語】がない」ではありませんか! だからこれらは「完全な英文ではない」のです。
まとめましょう。
「完全な文」…必要な文の要素(主語、目的語、補語)が揃っている文。
例
I reached the station.
I arrived at the station.
I arrived.
I arrived there.
He is a boy.
「完全な文ではない文」…必要な、主語や目的語や補語のどれかが欠けている文。
例1(主語がない)
reached the station.
arrived at the station.
arrived.
arrived there.
is a boy.
例2(目的語がない)
I reached.
I arrived at.
I reached there.
例3(補語がない)
He is.
となります。
このうち、英語が苦手な人が「完全な文ではない」と見抜きにくいのは
例2(目的語がない)
I reached.
I arrived at.
I reached there.
という「目的語が欠けている文」です。これをしっかり見抜けるようにならなければなりません。
よろしいでしょうか?
今回は以上です。明日はいつもの文法放送。この続きは月曜日です。